2020年3月~4月には、新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの企業がテレワークに急きょ取り組むこととなった。その後は新規感染者数が減少したものの、7月以降は第2波への警戒感も高まり、政府は企業に対して更なるテレワークの導入を求めている。

 企業がテレワークの取り組みを無理なく続けるためにはどのような点に留意すればよいのだろうか。緊急事態宣言解除後に実施した調査結果を読み解いてみると、糸口が見えてくる。

「All or Nothing」ではなく、部門や職種に応じた取り組みを

 まず、以下のグラフをご覧いただきたい。これは年商500億円未満の企業700社(有効回答件数)に対して、新型コロナに起因する在宅勤務の取り組み状況を尋ねた結果である。調査の実施時期は全国の緊急事態宣言が解除された直後の6月初旬である。

 広義のテレワークには、本社/支社以外の小規模拠点(サテライトオフィスなど)で勤務する形態や、社外で移動中などに業務にあたるモバイルワークなども含まれるが、本稿ではテレワークを「在宅勤務」に限定する。

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 「テレワーク導入率は●%」などと言われることが多いが、「経理や総務の職種に限定する」「希望した社員のみを対象とする」など、導入の方針が異なれば、導入率も変わってくる。そこで本調査では、「方針1:部門/職種を限定した在宅勤務」「方針2:可能な限り全社的な在宅勤務」「方針3:希望者に限定した在宅勤務」の3通りに分けて、取り組み状況を尋ねた。また、取り組み状況を詳細に把握できるように以下の5通りの選択肢を用意した。

●取り組み済み:臨時
既に実践しているが、緊急事態宣言をふまえた一時的なものである場合

●取り組み済み:継続
既に実践しており、年単位の継続的な取り組みと位置付けている場合

●取り組み予定:臨時
今後実践する予定だが、緊急事態を想定した一時的なものである場合

●取り組み予定:継続
今後実践する予定であり、年単位の継続的な取り組みと位置付けている場合

●該当なし
現在実践しておらず、今後の予定もない場合

 このグラフでまず着目すべき点は、全ての方針において「取り組み済み:臨時」と「取り組み済み:継続」の割合に大きな差がなく、前者が後者を若干下回る程度であることだ。見方を変えれば、現時点でテレワークに取り組み済みの企業の半数弱は「臨時」の対応を想定していることになる。しかし、今後の感染拡大の動向が読めない現状では、テレワークが長期化する可能性も少なからずある。企業としては「臨時」を「継続」に切り替えるための準備も検討しておくべきだろう。

 次に着目すべき点は、方針による取り組み状況の違いである。「臨時」「継続」ともに「取り組み済み」の割合が最も高いのは「方針1:部門/職種を限定した在宅勤務」だった。テレワークの議論では、暗黙の前提としてオフィス勤務を主体とする職種が想定されがちだが、実際、製造業の工場、建設業の現場、小売業やサービス業の店舗など、生活に不可欠な業務にはテレワークが難しいものも多い。

 もちろん、こうした業種であっても、経理/総務/人事などのバックオフィス業務であればテレワーク導入は可能だ(ただし、適切なペーパレス化を進める必要はある)。企業のテレワーク導入率を高めるためには、「All or Nothing」ではなく、テレワークが可能な部門や職種に限定して取り組むことが現実的だということをこのグラフは示している。

 一部の企業からは「部門や職種によってテレワークの可否が異なると、従業員に不公平感が生まれてしまう」という懸念も聞かれる。だが、新型コロナウイルスを早期に収束させるためには、ヒト同士の接触を可能な限り減らすことが不可欠だ。出勤が必要な部門/職種に敬意を払い、そうした方々の安全/安心のためにも、可能な部門/職種ではテレワークを導入するという考え方が大切ではないかと筆者は考えている。

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