安倍前首相の退任を受けて、2020年9月16日に菅内閣が発足した。それから1カ月ほどの間にさまざまな施策を積極的に打ち出している。その中から、企業のIT活用に関連するポイントを見ていくことにしよう。

企業のIT活用に深く関わる施策を打ち出す新政権

 2020年10月1日時点で、新政権が発表もしくは言及しているさまざまな施策のうち、幅広い企業のIT活用に関連すると思われるものを報道、ユーザー企業およびIT企業の生の声などを元にピックアップしたものが以下である。

デジタル庁の創設今後新設されるデジタル庁が主導して、省庁を横断した行政のデジタル化を実現する
マイナンバーカードの普及2021年3月から健康保険証としても利用可能にするなど、マイナンバーカードの利用を拡大し、2023年3月末には大半の住民が保有する状態を目指す
携帯電話料金引き下げ大手携帯電話通信事業者に対して、携帯電話料金のさらなる値下げを求める
地方銀行の経営基盤強化全国に102行ある(2020年10月1日現在)地銀(第一地銀68行、第二地銀34行)の再編を含めた環境整備を進める
中小企業基本法の見直し中小企業の定義を変更し、税制面の優遇措置や補助金の対象範囲が変わることによる再編や経営統合、最低賃金の引き上げなどを狙う

 上記のうち「デジタル庁の創設」「マイナンバーカードの普及」は行政のデジタル化を推進する取り組みだ。企業にとっては会計や人事などのバックエンド業務における手間を軽減できる可能性があるため、基本的にはプラス面が大きいといえる。

 一方、「携帯電話料金引き下げ」、「地方銀行の経営基盤強化」、「中小企業基本法の見直し」はプラス面とマイナス面の双方が指摘されている。例えば、「携帯電話料金引き下げ」では利用者の負担軽減が期待されるが、既に2020年度から「将来原価方式」(通信量の多いMVNOに対して大手携帯電話通信事業者に支払う接続料の引き下げを適用する)などの取り組みも進んでおり、さらなる値下げの要請は5G(第5世代移動通信システム)をはじめとする新たな通信基盤整備に影響を与えるのではないか、といった懸念も聞かれる。

 また、地方銀行の中には金利低下による収益減を補うため、ITなどを活用した地元企業の経営支援に取り組むケースも見られる。「地方銀行の経営基盤強化」によって貸出余力については向上が期待できる一方で、地元企業向けの支援窓口は減少する可能性がある。

 「中小企業基本法の見直し」も影響は大きい。税制面の優遇措置を目的として意図的に企業規模を中小企業の範囲にとどめている企業もあり、それが日本経済を抑制する要因の一つであるという指摘は確かに正論だ。だが、従来多くの企業が利用してきた支援策(IT導入補助金など)の門戸が狭くなれば、日本企業全体のIT活用を減退させてしまう恐れもある。

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