コロナ禍で急速にテレワークが広がっている。事業継続への有効性が確認されたこともあり、収束後も働き方の一つとして定着していきそうだ。

 ただ、社会規模のテレワークが実施されたことで課題も見えてきた。特に大きいのは社内・社外とのコミュニケーションだ。リアルな対面コミュニケーションができないため、それに代わる手段の確保が必要になる。多くの企業がビデオ会議を選択し、現場での試行を繰り返している。

 ビデオ会議の効率的な活用方法は手探りが続く。どのツールを選ぶといいのか、顔を見せる必要はあるのか、どのくらいの頻度で実施するといいのか、仮想背景を使うと不真面目に思われないか――。慣れないサービスを急に使わざるを得なくなったため、付き合い方への悩みは尽きない。

 こうしたときは先行事例に学ぶのがいい。わかりやすいのが、2月19日から在宅勤務の対象を全従業員に拡大した楽天だ。「執務フロアで行われていた社内の会議や打ち合わせ、社外のクライアントに訪問したり来社してもらって実施したりしていた打ち合わせなど、あらゆる会議や打ち合わせをほぼ例外なくビデオ会議に切り替えた(平井康文副社長執行役員CIO&CISO)。

楽天の平井康文副社長執行役員CIO&CISO
(出所:楽天)
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 同社は以前からビデオ会議を利用していたが、海外拠点とのコミュニケーションと、毎週月曜日に実施する全社ミーティングのライブ中継が主な用途だった。新型コロナウイルスの感染拡大で、対象をあらゆる職場の日常の会議にまで広げた。平常時だった2020年1月と比較すると、ビデオ会議の延べ利用時間は2月が1.4倍、3月が3.2倍、4月が5.5倍と急激に増えた。

 ビデオ会議を使うのは楽天グループで働く3万人全員と取引先で、利用者のITリテラシーもまちまちだ。無理なくビデオ会議で業務を回せるようにするまで試行錯誤があったという。同社の平井CIO&CISOがそこから得た知見を紹介しよう。

顔を見せないとビデオ会議の価値は半減

 同社が利用するビデオ会議は、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが提供する「Zoom(ズーム)」である。画質や音質が良い点、海外拠点とビデオ会議をしても遅延が少ない点を評価して、2018年夏にそれまで使っていたビデオ会議システムから切り替えた。日本最大規模のZoomユーザー企業でもある。

 様々なツールを比較してZoomを選んだ平井CIO&CISOは、「画質や遅延の少なさ、ビデオ会議を盛り上げる機能などでZoomが優れていると判断したが、重視する点は企業ごとに異なるだろう。各社の基準でツールを選べばいい」とアドバイスする。そのうえで「どのツールを選ぶかよりも、どう活用するかが大事だ」と断言する。

 大規模運用から学んだビデオ会議をうまく使いこなすポイントとして、平井CIO&CISOは次の3つを挙げた。(1)顔を映して会議をする、(2)ビデオ会議と同時にテキストチャットを使う、(3)会議の主催者が参加者の集中力を高める工夫をする――である。

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