京セラが2021年7月にMA(マーケティングオートメーション)ツールを全社導入し、デジタルマーケティングの実践を始めてから、1年が経過した。事業部門ごとに実績を見える化して施策を評価する仕組みを整え、一部の事業部門でWebサイトのコンテンツ改善も進めている。

 「事業部門が商品PRのためにWebサイトを作っていた状態で、横のつながりはほとんど意識していなかった」――。広報室 コミュニケーションデザイン部責任者 兼 デジタルビジネス推進本部 デジタルマーケティング課責任者の北垣良介氏は、デジタルマーケティングを始める前の状況をこう振り返る。

京セラ 広報室 コミュニケーションデザイン部責任者 兼 デジタルビジネス推進本部 デジタルマーケティング課責任者の北垣良介氏
京セラ 広報室 コミュニケーションデザイン部責任者 兼 デジタルビジネス推進本部 デジタルマーケティング課責任者の北垣良介氏
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 広報室で京セラ全体のWebサイト標準化などに携わっていた北垣氏は、「お客さまからの問い合せを有効に活用できていない」「機会損失をしているのではないか」と不安を抱くようになった。ファインセラミック事業部など、一部の事業部門ではWebサイトを活用していたが、部門を超えて「京セラ株式会社」としてアプローチできれば、もっと高い売り上げにつながるのではないか。こう考えた北垣氏が社内で提案したのが、デジタルマーケティングの全社導入だった。

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 全社視点での、顧客情報の一元管理と横展開による利用促進を目指し、デジタルビジネス推進本部内にデジタルマーケティング課が発足したのは2021年1月だった。当時2人だった同課は、今では各事業部門からの兼務者5人を含む9人で構成している。

事業部門から集めた顧客データを名寄せ

 ファインセラミックからプリンティングデバイス、コンデンサーやエネルギー変換デバイスまで、多様な事業を展開する京セラでは従来、Webサイトを事業部門が個々に運営していた。訪問者からの問い合わせを受け、見込みがあると判断すれば、事業部門内の営業担当に引き継ぎ、製品を提案するなどのアプローチを取ってきた。

 デジタルマーケティングの全社導入に当たって最初に取りかかったのが、顧客データベースの整備だった。従来の事業部門ごとという運用を改め、Webサイトの問い合わせや資料ダウンロードの際に入手した訪問者の情報を「京セラの顧客情報」として一元管理し、可視化することを目指した。

京セラのデジタルマーケティング施策
京セラのデジタルマーケティング施策
(出典:京セラ)
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 さらに事業部門にあった既存顧客の情報や名刺情報などを集め、「メールアドレス」をキーに名寄せして、顧客データベースに蓄積した。北垣氏は「データが今後の営業に使えるかという視点で、要らないものを削除する作業が大変だった」と話す。MAに格納したデータ件数は、2022年6月時点で約10万件になったという。

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