新型コロナウイルス感染拡大を経た2021年に、国内企業の約3分の1がIT投資を増額する意向を持っている――。IT調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)が、国内企業を対象にIT投資やIT戦略について実施した調査から、こんな動向が明らかになった。

 ITRが2020年10月上旬に開催したWebセミナー「IT TREND 2020 ニューノーマル時代を切り拓くテクノロジ戦略」で、シニア・アナリストの三浦竜樹氏が調査結果(速報値)の要旨を説明した。

IT投資は引き続き増額基調、コロナ禍はブレーキにならない

 「国内IT投資動向調査」はITRが毎年実施しているもので、今年が20回目となる。今回の調査時期は2020年8月下旬で、有効回答数は2667件だった。同社は報告書を2020年11月中旬に発刊する予定である。

 同調査の結果から、国内企業の34%が、2021年度にIT投資を増やす意向であることが分かった。前年度比20%以上の増額を予定している企業は3%で、20%未満の増額を予定している企業は31%である(図1)。

図1●IT投資は減額企業の割合が拡大も、増額企業が依然3割超
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 過去の実績を見ると、2020年度にIT投資を増額した企業が36%で2019年度は35%だった。コロナ禍を受けてIT投資を増やす企業の割合はやや減ったものの、大きな変化は見られなかった。

 その一方で、2020年度にIT投資を減額した企業の割合が高まっていた(2019年の8%に対して2020年は15%)。さらに2021年に減額を予定する企業が16%となっている。コロナ禍の影響が、IT投資を抑える企業の増加という形に表れたといえる。

 IT投資の増減傾向の指標としてITRが算出している「IT投資インデックス」は、2020年度の実績値が+1.93で2021年度の予想値は+1.72となった(図2)。この指標は、企業のIT投資動向を把握するためのもので、企業の回答を、「10%未満の減少」なら「-5」などと数値化して積み上げ、回答数で割った数値となっている(IT投資インデックスの算出方法の詳細は図2参照)。

図2●IT投資インデックスは2年連続下落
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 同指標は2018年までの4年間は実績値が前年を上回っていたが、2019年度から下落傾向に転じていた。2020年度の調査では実績値も予想値も前年を下回る結果となった。

 ただし、どちらの値もマイナスに振れるほどの大幅な下落とはならなかった。三浦氏は「過去、投資インデックスがマイナスになったのはリーマンショックの影響を受けた年のみ。今回の調査でもリーマンショック並みにIT投資の勢いがそがれることを懸念していたが、大きくは下がらないことが分かった」と話す。リーマンショックの影響を受けた2009年度の投資インデックスは-3.80(実績値)だったという。

 投資インデックスを業種別に見ると、2021年度の予想値は建設・不動産が+0.85で、公共が+0.92となり、全体の予想値である+1.72を大きく下回っていた。これらの業種では、2021年度の投資を抑える傾向が見えている。

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