医用画像診断を支援する人工知能(AI)ソフトウエアへの期待が高まる中、ソフトをクラウド経由で提供するプラットフォーム(基盤)を医療機器メーカーなどが次々と整備している。だが、すでに乱立とも言える状況だ。

 GEヘルスケア・ジャパンは2020年7月7日に開催した成長戦略発表会で、同社のAI開発基盤「Edison Platform」経由で、ソフト開発企業がソフトを医療機関に提供する枠組みを用意すると明かした。その翌週、15日にはキヤノンITSメディカルが同様のサービスを開始。新サービス「アプリケーションコネクトサービス」は、同社が提供する医用画像クラウドサービス「Medical Image Place」を拡充し、Webサイト経由で開発企業と医療機関がソフトを売買する。第1弾としてキヤノンメディカルシステムズが開発した、脳卒中のAI画像診断支援ソフトの提供を始めた。

プラットフォームが乱立

 スマートフォン向けアプリの配信仲介サービスのように、開発企業が医療用ソフトをクラウド経由で医療機関に提供する――。こうした医療用ソフトのプラットフォームの提供を進めるのは、GEヘルスケア・ジャパンとキヤノンITSメディカルだけではない。医師が画像診断するときに使う「PACS(医療用画像管理システム)」や「読影ビューアー」のメーカーを中心に各社が競う。

 「プラットフォームが乱立している状態だ」。慶応義塾大学医学部放射線科学教室の橋本正弘特任助教はこう話す。橋本特任助教は画像診断に携わる放射線科医である一方で、自身も画像診断支援ソフトなどの研究開発を手掛ける。

 PACSの国内シェアトップの富士フイルムは2019年7月にAI画像診断支援ソフトに適した読影ビューアー「SYNAPSE SAI viewer」を発売。第1弾として2020年6月から胸部CTから肺結節を検出するAI画像診断支援ソフトを同ビューアー経由で提供を始めた。同ビューアーはプラットフォームの役割も兼ねる。医療機関はビューアー経由でソフトを使える。ソフトは他社製品も含めて今後増やす予定だが、すでに「AI画像診断支援ソフトを使ってみたい」として、他社のPACSから「SYNAPSE SAI viewer」に乗り換える医療機関もあるという。

 シーメンスヘルスケアは2020年6月から胸部CTから肺や心臓、大動脈などの変化を計測・解析し、読影医の診断支援につなげるAI画像診断支援ソフトを使った解析受託サービスを始めた。医療機関がこのサービスを利用するには、同社が提供するクラウドサービス「teamplay」と画像共有アプリ「teamplay Image」を使う必要がある。「teamplay」はいわば医療用プラットフォームだ。

 AI画像診断支援ソフト以外の医療向けソフトにも対応しており、例えばアルムの医療者向けコミュニケーションアプリ「Join」も利用できる。今後も医療放射線被曝(ひばく)管理ソフトや画像共有ソフト、検査アナリシスソフト、患者情報ポータルソフトなど医療機関のニーズにあったソフトを「他社製品も含めてラインナップを拡大していく」(シーメンスヘルスケアの狩野慎一郎デジタルヘルス&SYNGO事業部部長)としている。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。