日立物流は、2019年4月に整備したデジタル事業基盤でビジネス管理プラットフォームの「Domo」を活用し、可視化したデータによる業務改革と顧客支援を進めている。基盤整備までに二度の失敗を経験した同社がたどり着いた、データ活用の姿を聞いた。

顧客の変化に対応できるデジタル事業基盤

 日立物流はグローバルで740拠点を保有する国内最大級の物流会社で、近年は顧客の物流業務を包括的に請け負う「3PL(サードパーティロジスティクス)」に力を入れている。同社は数年前から「顧客のサプライチェーン変動への対応力向上が最大の課題」(日立物流 IT戦略本部 担当本部長 佐野直人氏)ととらえ、最新テクノロジーを採り入れたロジスティクス変革を進めている。

日立物流 IT戦略本部 担当本部長 佐野直人氏
撮影:松本 敏明
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 その一環として、2017年4月からIT戦略本部が中心となり、全社共通のデジタル事業基盤を整備するプロジェクトにとりかかった。プロジェクトのコンセプトが現在の「堅牢(けんろう)に管理するデータを、簡単に使う」に落ち着くまでに、同社は二度の失敗に直面したという。

 1度目は「データマネジメントの不備」が原因だった。同社が倉庫管理(Warehouse Management)システムを導入する国内460拠点の物流センターは、システムが荷主ごとに最適化されており、データ管理の仕組みも異なっていたという。

 しかも複数の物流センターをつなぐキーとなるIDが決まっていないため、各物流センターからのデータ集約が難しく、分析に使える形でデータを蓄積できなかった。このためデータマネジメントを改めて学び直して、日立物流としてのデータマネジメントの将来像を整理していった。

 2度目は、「データ可視化の難しさ」に直面した。導入したBI(Business Intelligence)ツールとETL(Extract/Transform/Load)処理を連携させたシステムを整備しようとしたが、KPI(重要業績評価指標)などをまとめたデータ集約画面(ダッシュボード)を社内で開発できなかった。結局、ノウハウを持つ外部企業に委託せざるを得なくなったという。

 この体制では、データを基にした迅速な意思決定を実現できない。結局、データを可視化するツールの見直しを迫られた。

 同社は二度の失敗で「堅牢で高いデータ品質を担保する環境」と「誰もが必要とするデータに短時間でアクセスできる環境」の両立が必要であることを学んだ。これを受けて、「データの集約・蓄積」と「抽出したデータの可視化」という二つの要素からなるデジタル事業基盤を整備していった(図1)。前者には米インフォマティカのデータ統合ツールを、後者には米ドーモのデータ可視化ツール「Domo」を採用した。

図1●「堅牢・正確」と「柔軟・スピード」を両立させたデジタル事業基盤
出典:日立物流
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