今回が本連載の最終回となります。本連載ではこれまで、2015年から私が実施したカスタマーサクセス部門のチェンジマネジメントを説明してきました。今回はその後に私が担当した、「営業部門」のチェンジマネジメントについて話します。

 このチェンジマネジメントで私は、過去の経験から得たノウハウを注ぎ込んだ上で、さらに新たにコンセプトを取り入れました。それが「Discipline(自律)」です。

 ただ、この言葉にあまりなじみのない方も多いと思います。実際に私が何をしたのかを、営業部門でのチェンジマネジメントの過程を追いながら説明することにしました。

営業部門のチェンジマネジメントを引き受ける

 「小沢さん、営業部門もやってみない?」――。アカウントマネジメント部のチェンジマネジメントを担当するよう私を指名した上司が、新たなミッションを打診してきました。2018年5月ごろのことです。

 カスタマーサクセス部門のチェンジマネジメントを完了させた私は当時、コンサルティング本部を統括していました。同本部の業務は、営業部門の後を引き継いで顧客にコンサルティングサービスを提供することでした。そんな私に上司は、その前工程に当たる営業部門の「プロフェッショナルサービス・セールス部」という部署を担当するよう持ちかけてきたのです。

 プロフェッショナルサービス・セールス部は、アドビのソフトウエアを導入した顧客に、以下の三つの「課題を解決して成果を生み出すためのサービス」を売る(つまり有料で契約してもらう)ことをミッションとしていました。

  1. (コンサルティング本部が提供する)製品の導入や活用を支援するコンサルティングサービス
  2. 製品を使い始める上での基本的なトレーニングサービス
  3. 導入後の技術的な運用を担うテクニカルアカウントマネジメントサービス

 このプロフェッショナルサービス・セールス部は、6四半期つまり1年半にわたって営業目標を一度もクリアできていませんでした。社内から、「この部門の存在がよく分からない」といった声を耳にしたこともあります。

 「やりましょう。1年でやります」――。私は上司からの問いかけに、即座に答えていました。

 こう答えた背景にあったのは、以前のチェンジマネジメントでの経験です。この経験に再現性があるかを、新たなプロジェクトで試したかったのです。

 しかもそのときは前のプロジェクトでやったことを繰り返すだけでなく、同じスピードなら効果を2倍、同じ効果なら期間を半分にしようと決めていました。

部門のメンバーに「Discipline」を植え付ける

 まず着手したのは、プロフェッショナルサービス・セールス部の営業オペレーションを強化するための戦略の策定でした。具体的には、

  • ターゲットとする顧客の属性
  • 自分たちの売り物のサービス
  • 営業プロセスと「ビジネスケイデンス」(顧客に繰り返して実施するビジネスアクション)
  • 営業メンバーの全員の強み・弱みと、そのための教育とキャリア

を整理しました。

 この部門にはそれまで、上記のような戦略がなく、やみくもに目標数値を追いかけては達成できないという悪循環にはまっていました。そうした部門のメンバーに「目標を達成せよ」というだけでは、これから出港する船に、「行き先は不明で、海図もないが、宝物を見つけてこい」と告げているのと同じです。

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