これまで3話を使って「技術的問題」と「適応課題」について解説し、適応課題を解決する手段として、米GEが1980年代後半に開発し全社規模で導入した「ワークアウト(Work-Out)」があることを説明してきた。
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(出所:123RF)
今回から、具体的なワークアウトの進め方を解説していく。
多くの方は、どのようにすればワークアウトによって、組織にある問題を発見して解決できるのだろうか?と疑問を持っていることだろう。例えば、「働き方改革」がうまくいかなかった方は、ワークアウトでも同じ失敗を繰り返すかもしれないと考えて、躊躇(ちゅうちょ)するかもしれない。
上の記事で私はワークアウトを、「『多様性の摩擦』を組織として取り入れることで、『適応』を加速させて、官僚的な体質を断ち切り、あらゆる組織の壁を打ち破り、社員の意識と価値観と行動に自己変革を起こし、組織の開発と個人の成長を加速するもの」と解説した。GEが、30年以上にわたってワークアウトによって組織文化(意識・価値観・行動)を変革してきたことも紹介した。
つまりワークアウトは、あらゆる課題を魔法のように解決してくれるツールやソリューションではなく、組織が継続して取り組むことで多様な課題に適応して、その文化を書き換えていく営みといえる。この違いをしっかり理解した上で、読み進めてほしい。
ワークアウトはリーダーが決めたことを強制するものではない
あなたが経営者なら、鶴の一声で「私たちはワークアウトを取り入れる」と決めて、リーダーを指名して推進させればよいと考えるかもしれない。しかし、物事はそんな生やさしいものではない。