あなたは周囲から頼られ、困りごとが生じたときに必ず声をかけられる「問題解決のエキスパート」ではないだろうか?私自身はある時期まで、そう呼ばれることを誇りに思っていた。次から次に上がる火の手を片っ端から消し止める自分に酔い、「俺こそが問題解決のエキスパートだ」と得意になっていたときもあった。

 頼まれたら決して嫌とはいわずに、すぐに腰を上げて現場に出向き、あっという間に問題を解決する。「もはや、この会社には私が解決できない問題なんてないんじゃないか」と思っていたほどだ。

(出所:123RF)

 「すごいですね~」「さすがです。ありがとうございます」「やっぱり頼りになります」などと言われると気持ちがいいし、有頂天にもなる。頼まれた問題を解決するたびに、自分の存在意義を味わえて、「また、やったぞ」「あぁ、今日もよい仕事をしたなぁ」と充実した毎日を送っているつもりになれるのだ。

「モグラ叩き」のエキスパートになってはいないか?

 しかし、疲労がたまっているときなどは「自分は“便利屋”として、いいように使われていないか?」という不安に襲われる。といっても、それらを深く考えるひまもないほど、社内に問題が次から次へとわいてくる。いったい、どういうことなのか?

 誰もが一度は、ゲームセンターで「モグラ叩き」で遊んだことがあるだろう。次から次へと顔を出すモグラをハンマーで叩いて、穴に戻すと得点になるという単純なゲームだ。

 Wikipediaの「モグラ叩き」(2021年3月29日11:26更新)によれば、「最初のモグラ叩きは、1975年、カトウ製作所が開発」したという。さらに「次々に頭を出すモグラを順に叩く様から、抜本的ではない対症療法的な対策の比喩として用いられる」ともある。

 そうなのだ。私がやってきた問題の解決とは、まさにモグラ叩きだった。昔から「すぐに行動する」クセが抜けず、問題が起きたと聞けば、本質を捉えることなく解決策を探して、なにはともあれ火消しに走ってしまう。

 それはそれで、うまくいけば相手に喜ばれ、感謝もされる。しかし問題をきちんと診断して、真の原因を究明しない限りは、困ったことを対症療法的に何とかするだけ、つまり「モグラ叩き」のエキスパートになってしまう。

 問題解決について、アルベルト・アインシュタインには、こんな名言があるといわれている(ただし、アインシュタインの業績や名言を公式にまとめたプリンストン大学出版局の『The Ultimate Quotable Einstein』には記載がなく、現時点では未確認情報となっている)。

Einstein is reported to have said that, “if he only had one hour to solve a problem he would spend 55 minutes defining the problem and the remaining 5 minutes solving it routinely.”(アインシュタインがこう言ったと報告されている。「問題を解決するのに1時間しかなかった場合、55分かけて問題を定義し、残りの5分で解決する」)

初出:1986, Educational Transactions of the 8th Annual IAQC Spring Conference, “Creatively Managing Your Mind” by Robert J. Greene (IBM Corporation), Start Page 62, Quote Page 68, Published by International Association of Quality Circles.

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