前回、米GEが1980年代後半に全社規模で導入した「ワークアウト(Work-Out)」の解説をスタートさせた。

 第1回では、ワークアウトは大きく分けて「準備」「対話」「行動」の3つのステップで構成されること、さらに最初の「準備」が権限の委譲・テーマの決定・メンバーの選定の3要素に分かれていること、そしてそれだけでは「技術的問題」しか解決できないことを説明した。

 今回からは、「境界線」を越えた「対話」を通じて、問題の当事者であるメンバー自身が「適応課題」を解いていく過程を解説する。

(出所:123RF)

2.対話

 ワークアウトの3ステップの中で、最も重視すべきは「対話」である。ここでいう「対話」とは、上司と部下、あるいは部署と部署を分断する「境界線」を越えてメンバー同士が議論し、解決すべき課題への対策について合意するものだ。共通のゴールを持つメンバーが「グループワーク」を通じて互いの知っていることを共有し、理解の違いを埋め、価値観の多様性を尊重した上で合意を目指す共同作業プロセスであり、これこそがワークアウトの神髄ともいえる。

 「境界線」は、部署を越える協力体制をことごとく妨害してきた負の象徴だ。「縦割り組織」や「セクショナリズム」の温床となり、過剰な承認手続きを生み、時間を無駄にする会議を繰り返し、意味もなく複雑で非生産的な業務プロセスを維持し、読まれもしない大量の社内文書を量産してきた。

 「境界線」は目に見えるものではなく、社員の心の中に長い時間をかけてつくられた暗黙のルールである。そして官僚化と動脈硬化が進んだ組織の社員は、「境界線」を自ら越えることをしなくなる。

 ある担当者が「境界線」を越えて「対話」をし、上司を通さずに他部署のメンバーと打ち合わせて、ある依頼ごとをしたとしよう。しかしその部署の上司からは「聞いていないぞ、勝手なことをするな」と突っぱねられ、自身の上司からも「勝手なことをするな、次からはちゃんと俺を通せ」と釘(くぎ)を刺される。担当者は「対話」どころか、「境界線」に近づくことに不安と恐怖を感じるようになる。

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