前回は、ある製薬会社向けに「時間を売る」ビジネスをデザインする過程で、この製薬会社の問題を解決するための「戦略」を立案した話をした。

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 私たちが「お客様に時間を売る」ビジネスにたどり着くまでに、以下の5ステップを踏んできた。

  1. お客様のゴールを確認する
  2. 現状を測る
  3. ギャップ・問題点を発見する
  4. 問題解決(お客様に時間を売る)のための戦略を立案する
  5. 問題解決(お客様に時間を売る)のためのロードマップを提案する
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 今回は、立案した戦略を基に、「5.問題解決(お客様に時間を売る)のためのロードマップを提案する」話をする。問題解決までに達成する目標を「マイルストーン」として段階的に設定し、これを実現していく「ロードマップ」を作り上げていった。

米GEのサービスモデルを日本に持ち込む

 前回の続きから話を始めよう。私たちGEヘルスケアは、「『研究資産管理』で雑事から研究者を解放し研究開発を加速する」という「戦略」にたどり着いていた。

 その当時、GEヘルスケアは研究現場を支援するサービスモデルを二つ用意していた。具体的には、(1)GEヘルスケアの研究開発機器が故障したときに、出張または引き取りで修理し、そのたびに料金を徴収する「オンデマンド修理」と、(2)修理を含む保守サービスを長期契約で結び、故障の件数や必要とする手間にかかわらず毎月の料金を定額とする「長期保守契約」である。

 ただし(1)は、担当者が現場に駆けつけたり部品を取り寄せたりする必要があるため、故障発覚から修理完了までに時間を要していた。しかも故障がいつ発生するか分からないため、GEヘルスケアの作業員の待機時間も長くなってしまった。

 (2)は定額料金で利用できる顧客にも、月ごとに安定した売り上げを得られるGEヘルスケアにもメリットはあった。しかし予算の限られた大学研究室が保守契約を結ぶことは極めて少なく、契約者は機器納入先の8%程度にとどまったため、結果として大きな利益に結びつかなかった。

 (1)や(2)のサービスモデルでは、製薬会社の研究者を雑事から解放し研究開発を加速するという戦略の達成は難しい。新しいサービスモデルが必要となった。

 新しいサービスは、GEが米国で提供していた「病院向けアセットマネジメント(資産管理)サービス」を原型として設計した。GEが開発したアセットマネジメントソフトウエアを使い、病院内にある医療機器を管理・運用するサービスである。

 このサービスには、「サービスエンジニアの現場常駐」と「オンラインによる機器のモニタリング」という二つの特徴があった。機器が故障したとき病院の担当者は、常駐のエンジニアに修理を依頼するだけで、それ以外の作業からは解放される。さらに医療機器の稼働データのモニタリングによって故障しそうな機器を特定し、先回りして修理することで、機器が使えなくなる時間を短縮していた。

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