調査会社のIDC Japanは2019年7月、2018年の国内企業向けネットワーク機器の市場規模(支出額ベース)が2374億1000万円(100万円の位は四捨五入、以下同じ)だったと発表した。その内訳は「企業向けルーター」が382億3000万円、「企業向けイーサネットスイッチ」は1644億9000万円、「企業向け無線LAN機器」は346億9000万円となっている。

 2018年の同市場の前年比成長率は5.9%となり、2年連続でプラス成長を遂げた。背景にあるのは、企業のネットワークアクセス手段を有線LANから無線LANへとシフトさせる「ワイヤレスファースト」の進展である。

「ワイヤレスファースト」を後押しする働き方改革

 無線LANの導入実態について明確な数字はないが、以前IDCがユーザー企業を対象に「3年後に、どのくらいの割合の従業員が社内で無線LANを使っているか?」という質問をしたところ、回答で最も多かったのが「半分くらい」というものだった。

 スマートフォンやタブレットが普及し、家庭内で普段、無線LANを使用している個人からすると、調査対象企業の無線LANの導入意向は低いように感じるかもしれない。

 しかし企業の多くは、オフィスの移転や改装、組織改革など、何らかのきっかけがあって初めて、既存のLAN環境の見直しを検討する。デスクトップ型のパソコンで業務をこなし、業務にノートパソコンを使う機会があまりない企業では、有線LANを使うのが一般的だ。上記の調査結果からは、こうした現実が浮かび上がったといえる。

 「それだけに、まだ無線LANが企業に広まる余地がある」と、IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャー 草野 賢一氏は話す。例えば、“働き方改革”によって、企業にモバイルデバイスの活用の機運が広がっている。これもワイヤレスファーストを後押しする一因といえるだろう。

 実際、国内企業向けネットワーク機器市場の中でも、企業向け無線LAN機器市場は2018年に成長した。アクセスポイントの出荷台数は81万台に達し、複数の無線LANアクセスポイントを管理する「無線LANコントローラー」を含む無線LAN機器の市場規模は、前年に比べて24.8%も伸びた。

 無線LANアクセスポイントの規格別にみると、5GHz帯周波数を使い最大通信速度が6.9Gビット/秒である「IEEE 802.11ac」(11ac)の出荷台数が2018年は最も多かった。多くの企業がこれまで導入してきた「IEEE 802.11a/b/g/n」規格の製品は、最大速度が11acに大きく劣ることもあって、急速にシェアを下げている。

国内企業向け無線LANアクセスポイント市場 規格別 出荷台数、2011~23年
(出典:IDC Japan)
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