エッジ・コンピューティングでは、データが生成され活用される現場(エッジ)にコンピューティング資源を配備し、中央側のクラウドやデータセンターと連携しつつ、処理をエッジ側で実行する(図1)。センサーのある工場などのほか、モバイルデバイスを所有する人や自動車が行き交う街角など、データが発生する現場の近くで分散処理をすることで効率を高められる。

図1●エッジ・コンピューティングの構成
出典:ガートナー
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 2019年10月に発表した「日本におけるテクノロジーのハイプサイクル:2019年」で、ガートナー ジャパンはエッジ・コンピューティングを「過度な期待のピーク期」に位置付けた。センサーなどIoTの活用に積極的で、OT(制御・運用技術)とIT(情報技術)の融合を進めている製造業や建設業から高い注目を集めている。今後は工業用ロボットと人工知能(AI)の連携や、屋外でのインテリジェントな分析機能の活用といったように、エッジと中央が連携する適用例が登場するという期待が高まっている。

 クラウドの持ち味であるスケーラビリティーやシステム全体で実現できる性能は多くの企業に評価されており、今後も企業によるクラウドシフトは進むと考えられる。この状況でエッジ・コンピューティングが必要になるのは、データが中央のシステム以外の場所で生成され活用されるという傾向に加えて、その処理結果をいち早く利用したいというニーズがあるからといえる。

 クラウドや自社のデータセンターが中央集中型で処理することを基本とするのに対し、エッジ・コンピューティングはデータ処理のニーズが高い場所で、より速く結果を得ることを目指す。クラウドやデータセンターにある中央のシステムと連携しながらエッジの環境が進化した形態が、エッジ・コンピューティングといえる。

 ただしクラウドやデータセンターとの連携がない、遠隔地や移動体での単体の処理をエッジ・コンピューティングと呼ぶケースも少なくない。テクノロジーへの注目度は高いものの、現状では効果的な活用例は多くない。

クラウド全盛期にこそ必要な「適材適所」の考え方

 エッジ・コンピューティングは古くからあるモデルだが、IoT活用によるデータ量の増大に対応したエッジ・サーバーの高性能化や、デバイスのインテリジェント化によって、現場での高度な処理が可能になった。例えば、センサーが取得したデータをエッジ・サーバーが処理し、結果に応じた命令をデバイスに送ることで処理の最適化を図ったり、カメラの内部で映像をダイナミックに分析したりするなど多様なサービスが登場している。

 しかも、エッジでの処理結果を断続的にセンターに送信する構成を取ることで、エッジとセンター間の通信量を抑えられる。エッジ側のデバイス内でAIを応用した分析処理をすることで、センター側リソースの効率化も可能になる。

 さらにセンター側では、エッジ側の処理を最適化するため、その処理内容を分析。アルゴリズムを改善してエッジ側にフィードバックすることも可能だ。

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