ガートナー ジャパンは2020年9月に発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジーのハイプ・サイクル *1:2020年」で、RPA(Robotic Process Automation)が「幻滅期の底を打って本格的な普及を目指し始めて」いると指摘した。新型コロナウイルスの感染拡大がさまざまなIT技術の導入進捗に影響した2020年に、RPAの企業での導入や、ベンダーの製品開発にどのような変化があったのか。IT担当者が知っておくべき“現在地”をまとめる。

(出所:123RF)
ペーパーレス化した業務に自動化ニーズ
日本でRPAの導入企業は、着実に増え続けている。ガートナーが2020年1月に実施した調査からは、試行中の企業も含めて導入企業が6割に上っていたことが分かっている。また、2020年のコロナ禍は、RPAの採用増加トレンドに対しネガティブな影響は小さかったとみていい。
ガートナーは、2020年4月に開催したウェビナーで、聴講者にアンケート形式で「コロナ禍を受けてRPAの取り組みをどうする考えか」を聞いている。回答は、7割超の企業が「当初の計画通りに進める」または「より加速させる」を選んだ。当時は最初の緊急事態宣言が出たころだったが、想定していた以上に導入に前向きな企業が多かった。
*1 ハイプ・サイクルは、企業がテクノロジーやアプリケーションに何を期待できるのかを理解できるようにガートナーが開発したもので、横軸に「時間の経過」を、縦軸に「市場からの期待度」を置く2次元の波形曲線で表す。テクノロジーやアプリケーションが市場に受け入れられるまでは、総じて同じ経過をたどる。初めて市場に登場した後に、期待は急上昇するが(黎明期)、成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされ(「過度な期待」のピーク期)、熱狂が冷めると市場がいったん停滞し(幻滅期)、改めて実質的な市場浸透が始まり(啓発期)、成熟したテクノロジーとして市場に認知される(生産性の安定期)というステップを踏む。