企業はデジタル化の進展に伴い、自社にとっての「ITコスト最適化」を考える必要がある。これは経済が停滞しているときだけに実施するものではない。

 そのゴールとは、「バイモーダル*1の『モード1』から『モード2』に投資を振り向けること」「現在の無駄を減らすこと」「モード1の改善や機能拡張により、新しい価値を生み出すこと」の三つで、それぞれを継続的に実施し、検証していく必要がある。ガートナーは企業のCIO(最高情報責任者)が効果的にITコストを最適化できるよう、「TGRモデル」と「TIMEフレームワーク」と呼ぶ二つの手法を提唱している。

経営者視点での分類に役立つTGR

 TGRモデルとは、IT投資の対象となる案件やシステムを「変革(T:Transform)」「成長(G:Growth)」「運営(R:Run)」という3分類で整理するもの。IT部門の視点ではなく経営者の視点で、年間支出の全体像(ポートフォリオ)のバランスを確認する目的で使う(図1)。

図1●TGRモデルに基づくIT投資ポートフォリオ
出典:ガートナー
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 3分類の特徴をそれぞれ説明しよう。

 「変革」とは「スマートxx」「デジタルxx」などと呼ばれる、まだ見ぬ変革を実現する案件やシステムへの投資である。これらは価値が明確になるまで実験を繰り返す必要があり、要件やコスト、価値の予測が困難である。失敗する可能性も高く、経営者にとってはハイリスクかつハイリターンな投資となる。

 「成長」は、既存ビジネスを止めない「運営」案件に付加価値を加えて拡張した投資のほか、既存ビジネスに新たなIT機能を加えてそのビジネスの拡大を目指す投資が中心となる。

 その一方で「成長」は、実験の繰り返しによって要件や価値を見える化できた、“かつての「変革」案件への投資”という側面も持つ。「変革」案件との違いは、要件や価値に対して可視化できる部分が多いことである。

 「CRM(顧客関係管理システム)、SFA(営業支援システム)」「サプライチェーンの最適化」「受発注管理(新規)」などが「成長」の代表例である。IT部門はこれらのシステムによって、自分たちが現在のビジネスに貢献できていることを説明できる。


*1 バイモーダル…ガートナーが2013年から提唱するコンセプト。従来のアプローチ (モード1)に加えて、新しいアプローチ(モード2)に並行して取り組む姿勢を意味する。ガートナーは「IT組織にバイモーダル・アプローチが求められるようになった契機は、さまざまなデジタル技術の登場とその活用機会の拡大にある」と指摘している。

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