ユーザー企業が相次いで導入を始めているRPA(Robotic Process Automation)には「光」もあれば「影」もある。「働き方改革への貢献」や「大きなコスト削減効果」などへの期待がある一方で、「利用者の利便性とガバナンスの両立」「ロボットがよく止まる」など導入後に顕在化したリスクに直面している企業も少なくない。

「現在のツールをそのまま使ってもよいのか」

 ガートナーへのRPAに関わる問い合わせの中で目立つのが、「現在のツールをそのまま使ってもよいのか」という質問である。特に、「デスクトップ型のRPAツールを使っている企業」や「サーバー型RPAツールをクライアントだけで使っている企業」からの相談が増えていると感じている。特定の部署で試験的に採用したRPAの導入範囲を、全社規模などへと拡大することを見据えたものと推測している。

 ガートナーは、RPAを「⽇本におけるITオペレーション管理のハイプ・サイクル*1」などでもプロットしている。RPAは2018年時点で「過度な期待」のピーク期を過ぎて、2019年は「幻滅期」に入り、曲線の坂を下り始めたと見ている(図1)。

図1●日本におけるITオペレーション・マネジメントのハイプ・サイクル:2019年
出典:ガートナー
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 ガートナーが2017年と18年(どちらも12月)に日本企業を対象に調査した結果からは、企業の業種や規模を問わずRPAの導入が進んでいることが分かる。「RPAを導入済みの企業」は2017年の20.1%から2018年の31.4%へと伸びており、トライアル実施中の企業も9.4%から18.4%とほぼ2倍に増えた。「導入や検討の予定がない」企業の比率は減少している。

 しかし「導入済みだが、利用見直しを検討中」を選んだ企業が3.9%から7.1%に増加している。2016年の後半から2017年にかけてRPAのPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施し、早めに導入に踏み切った企業の一部が、RPAの適用範囲拡大に際して課題に直面し利用の見直しを検討しているものと推測できる。


*1 ハイプ・サイクルは、企業がテクノロジーやアプリケーションに何を期待できるのかを理解できるようにガートナーが開発したもので、横軸に「時間の経過」を、縦軸に「市場からの期待度」を置く2次元の波形曲線で表す。テクノロジーやアプリケーションが市場に受け入れられるまでは、総じて同じ経過をたどる。初めて市場に登場した後に、期待は急上昇するが(黎明期)、成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされ(「過度な期待」のピーク期)、熱狂が冷めると市場がいったん停滞し(幻滅期)、改めて実質的な市場浸透が始まり(啓蒙活動期)、成熟したテクノロジーとして市場に認知される(生産性の安定期)というステップを踏む。ハイプ・サイクルは、これら五つの段階で市場の成熟化の過程を示し、キーワードはそれぞれの成熟度に従い、ハイプ・サイクル上にマッピングされる。

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