新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言が2021年3月7日まで延長された(東京都など10都府県)。同宣言がいつ解除されるのかは見えないが、いずれにせよ、ものづくりでは新型コロナ禍を言い訳にすると品質不具合へまっしぐらだ。品質はもちろん、コストにもこだわり、納期も厳守。「守るべき基本」がぶれてはならない。

 さらに言えば、新型コロナ禍だからと一歩も二歩も引いてしまいそうな今こそ、前回(第78回)から取り上げている「提案型の設計」を心掛けたいものだ。提案型の設計には次のように3つの段階がある。

第1段階:「顧客から受け取った部品図を見て」提案するレベル

第2段階:「加工する部品の顧客での使われ方を知って」提案するレベル

第3段階:「部品メーカーにとどまらず、製品メーカーになったつもりで」提案するレベル

 今回は第3段階を取り上げる。

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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顧客のシステム上の課題を見いだす

 筆者のかつての経験だ。売り上げの拡大を狙って、開発する製品を選んだ。その製品はあるパワートレーン系のシステムに使われていた。そのシステムの市場に将来性があると判断したのだ。

 開発するからには、先行メーカーに勝たねばならない。同じようなものでは勝てない。そこで「開発方針」は、納入先メーカー(以下、顧客)のシステム上の課題を見いだし、その課題の解決策(以下、うれしさ)を提供する製品を提案することとした。

 顧客の立場でシステムを勉強し、調査して議論した。すると、うれしさが見えてきた。それを踏まえて、開発する製品の性能を高めるとシステムを構成する部品を減らせるだろうと判断した。システムコスト削減の案を見いだせたのだ。

 早速、顧客に「性能をこのように高めると、システムを構成するこの部品を削減できるのでは」と提案した。顧客に受け入れられ、開発がスタートしたのは言うまでもない。

 自動車部品は「1gでも軽く」「1mmでも小さく」「1円でも安く」が基本。システムコスト削減まではいかなくても、軽量化や小型化、コスト削減の提案は、顧客にとってはウエルカムだ。「このようにして○g軽くします」というのは、顧客の立場に立った提案だ。

電動化で注目される樹脂への置き換え

 昨年(2020年)、欧米や中国など複数の国が相次いで自動車の電動化に向けた方針を打ち出した。日本もしかりだ。電動化はまだ先との感があったが、あっという間に様変わりである。

 電動化には部品の軽量化が重要だ。電動化によって部品点数は約4割減少するともいわれている。一方で、電動化のために必要な部品などの搭載で、車両全体の質量はむしろ増加するとの試算がある。とにもかくにも、燃費の向上や二酸化炭素(CO2)の削減には、自動車部品の軽量化がますます重要となる。

 軽量化には部品の一体化や小型化などさまざまな切り口があるが、中でも重要な手法の1つに樹脂化がある。顧客から樹脂化の要望を待つのではなく、顧客に対して「その部品を樹脂化できます」と投げ掛けるのが、提案型の設計だ。

 樹脂化できるかどうかを判断する際に気を付けるべきことや、失敗しない設計上の留意点を取り上げよう。

(出所:日経クロステック)
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