企業がパブリッククラウド上でデータを活用する際、ネットワークへの考慮は極めて重要だ。例えば、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの場合、クラウド上のデータベースとオンプレミスの間にネットワーク遅延があると、想定よりスループットが出なかったり、リアルタイム処理ができなかったりする事象が発生する。こうしたことを防ぐには、ネットワークの観点から各クラウドを比較することが不可欠だ。そこで本特集では、パブリッククラウドを導入する際のポイントをネットワークの視点から解説する。

POINT 1
パブリッククラウドに移行する企業が増えている

 検証環境やバックアップシステム、重要システムなどをパブリッククラウドに移行する企業が増えている。調査会社のIDC Japanは、国内のパブリッククラウドサービスの市場規模は、2018年の6688億円から2023年には2.5倍の1兆6940億円になると予測している。

国内のパブリッククラウド市場の予測
(出所:IDC Japan)
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 パブリッククラウドの活用が進む理由は、従来のオンプレミス利用と比較して、物理的なインフラストラクチャーの構築・管理・運用の手間から解放されることと、柔軟性・拡張性・冗長性の観点でメリットが得られることだ。

 企業がパブリッククラウドの導入を検討する際、まず候補に挙がるのは米アマゾン・ドット・コムのAmazon Web Services(AWS)、米マイクロソフトのMicrosoft Azure、米グーグルのGoogle Cloud Platform(GCP)。いわゆる3大クラウドだ。

 各クラウドでは、コンピューティングやストレージなどの機能や料金は類似のものが提供されており、AIやIoTといった先端技術で独自性を出している。

3大クラウドの主なマネージドサービス
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POINT 2
信頼性や速度の面では閉域接続が優れている

 ハイブリッドクラウド環境においてオンプレミスとクラウドの接続方法は、大きく2パターンがある。1つは、インターネットを経由し、通信自体をIPsecなどで暗号化するインターネットVPN接続。もう1つは、インターネットを経由せず、通信事業者の閉域網だけで通信する閉域接続である。

 主にIaaSを利用する場合について、インターネットVPN接続と閉域接続を比較した。インターネットVPN接続は安価で、暗号化により十分なセキュリティーが保たれている。だが、複数のISPで構成されるインターネットを経由するため、遅延や通信の揺らぎがあり、帯域が保証されない。これに対し、閉域接続は信頼性や速度の安定性で優れる。また、通信が閉域網に閉じているので、インターネットVPN接続より安全といえる。

クラウドとの接続形態の比較
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