すべてのモノがネットワークにつながるIoT時代、IT技術者ならネットワークに関する基本的な知識は不可欠だ。そこで本特集では日経NETWORKの過去記事を再編集。全12回で基本的なネットワーク技術を分かりやすく解説する。

 IPネットワークでコンピューター同士が通信するときは、宛先と送信元のアドレスをデータに付け加える。具体的には、IPパケットのヘッダーに宛先と送信元のIPアドレスを、MACフレームのヘッダーに宛先と送信元のMACアドレスを書き込む。このように、IPネットワークの通信では四つのアドレスが必要になる。

 しかし、この四つのアドレスがそろわなくても、やりとりできる通信がある。例えば、DHCPサーバーにネットワーク情報を動的に割り当ててもらうときの通信である。

 起動したばかりのコンピューターは、DHCPサーバーとのやりとりが始まるまで、DHCPサーバーのIPアドレスやMACアドレスが分からない。そればかりか、自身のIPアドレスも分からない。このようなときに使うのが、「ブロードキャスト」である。今回は、ブロードキャストを取り上げる。

1回のデータ送信ですべてのホストに届ける

 ブロードキャストとは、一つのネットワークの中にあるすべてのホストに対してデータを送ることだ。

同報通信に使うブロードキャスト
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 一つのネットワークとは、IPアドレスでいえば同じネットワーク部を持つホストの集合を指す。ルーターによって物理的に区切られた範囲が該当する。

 コンピューターがDHCPサーバーからネットワーク情報を受け取るときは、最初にコンピューター自身がつながっているネットワーク(自ネットワーク)にブロードキャストする。これによって、DHCPサーバーとやりとりできるようになる。

 以前取り上げたARPも、ブロードキャストを使う。ARPは、IP処理プログラムからの依頼を受けて、データを送信する宛先のMACアドレスを調べる。このとき、ブロードキャストを使って、ネットワーク全体のホストにMACアドレスを問い合わせる。

 一方、コンピューター同士が1対1でデータをやりとりする通常の通信を「ユニキャスト」と呼ぶ。

 ブロードキャストとユニキャストの大きな違いは、データに宛先と送信元のそれぞれのアドレスを指定しているかどうかという点のほかに、送り出すIPパケットと受け取るIPパケットの数に差がある点だ。

 例えば、ユニキャストでネットワーク内すべてのホストに同じデータを送る場合、送信側のコンピューターがホストの数だけデータを複製して、それぞれのホストに対してデータを送り出す。これに対してブロードキャストは、コンピューターが一つのデータを送り出せば、すべてのホストにデータが届くようになっている。

 このため、ブロードキャストの方がネットワークに流れるデータ量が少ない。また、コンピューターでデータをコピーしない分、送信側の負荷も低くなる。

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