国税に関わる書類を電子データとして保存する方法などを定めた「電子帳簿保存法」。これに対応することで経理作業の効率化、ペーパーレス化、働き方改革の推進などにつなげる企業が増えている。2019年度からは書類のスキャン期限が緩和され、業務実態に即した法改正が進む。加えて、ツールの使い勝手も上がっている。電子帳簿保存法対応の最前線を追った。

 「電子帳簿保存法に対応する企業はこの1年あまりどんどん増えている」。ITコンサルティング会社シグマクシスの柳田孝紀P2シェルパディレクターはこう話す。

 現状では経費精算業務の効率化や紙書類の削減などを目的に電子帳簿保存法に対応するケースが多い。最近はそれらの目的にとどまらず「企業統治(コーポレート・ガバナンス)の強化を図る事例も増えてきた」と柳田氏は指摘する。

 最たる例は塩野義製薬だ。2018年に業務の見直しと経費精算システムの導入を進め、経費の承認の流れを追跡したり申請内容が業務ルールに適合しているかどうかを自動的にチェックしたりできるようにした。

現場の実情に合わせた法改正も

 成果を上げる企業が相次ぎ登場する背景には、電子帳簿保存法の改正やツールの機能拡充がある。

 同法は1998年の制定以降、業務実態に合わせた運用が可能になるように緩和されてきた。例えば2015年度には電子保存できる領収書などの金額は3万円未満という条件が撤廃され、高額の経費も電子処理が可能になった。

 2016年度にはスマートフォンやデジタルカメラで撮影した書類データも同法の対象に加えられた。それまではスキャナーによって作成した電子データしか認められていなかった。この法改正により出張などで外出した時でも、場所や時間を問わず経費申請・承認が可能となった。

 2019年度も業務の実態に合わせた法改正および運用の見直しが進む。電子帳簿保存法は領収書などの書類を電子データにする際、その後に改ざんされていないことを証明できるように暗号化技術を応用した「タイムスタンプ」の付与を義務付けている。

2019年7月1日付の電子帳簿保存法に関する運用見直しの通達で、3連休でも週明けの経費精算申請が可能に
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 従来、領収書などを受領した社員(申請者)がそれを電子データにして申請する場合は、原則として受領から3日後までにタイムスタンプを付与する必要があった。例えば3連休前の金曜日に領収書を受領した場合、同日か連休中に経費精算システムにアクセスして処理しなければならなかった。間に合わなければ、受領者以外の社員が電子データにする必要がある。

 2019年7月1日付通達での運用見直しによって、タイムスタンプの付与期限が営業日ベースで受領から3日後までとなった。そのため3連休前の金曜日に領収書を受領した場合でも、翌週木曜日までに受領者が電子データにすればよい。

 受領者以外の社員が電子データにする際の期限も約1カ月延びた。従来は最長で1カ月プラス1週間だったが、運用見直しにより最長で2カ月プラス7営業日になった。

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