最新の無線LAN規格である「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」に対応した無線LANアクセスポイント(AP)が市場に登場してきた。早速のこれらの製品を使って、スループットを計測する実験を実施してみた。

APを子機代わりにして測定

 Wi-Fi 6に対応した子機は日本国内ではまだ販売されていない。そこで、エイスースジャパンのAPを子機代わりにして実験した。

アクセスポイント(RT-AX88U)2台を端末代わりの子機として利用し2つの経路で通信を実行した場合のスループットを計測した
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 実験に利用した機器における理論的な最大通信速度は4804Mビット/秒と、1000BASE-Tの速度(1Gビット/秒)を超えている。そこで、親機とはレイヤー2(L2)スイッチの間は5Gビット/秒のマルチギガビット対応イーサネットで接続した。パソコンとL2スイッチ、パソコンと子機の間はそれぞれ、1000BASE-Tでつないだ。

 4台のパソコンはそれぞれに、スループット測定ツール「Jperf 2.0」をインストールした。下り方向の通信を測定するときは、親機側のJperfからは速度を制限しない設定でパケットを送り、子機側のJperfでスループットを測定した。上り方向を計測する場合は逆になる。

 今回は、(1)の経路で上りと下りを計測してから、(2)の経路で同様に上りと下りを計測。その後、上りと下りそれぞれについて(1)と(2)の通信を同時に実行し、それらの計測値を合計することで最大スループットを計算した。

80MHz幅でギガビット超に到達

 実験は、親機側の設定で通信に使うチャネル幅(帯域)を変えながら実施した。

 まず基本となる1チャネルだけの20MHz幅で始め、それからチャネルボンディングを利用して複数のチャネルを束ねていき、順に40MHz幅/80MHz幅/160MHz幅と帯域を広げながら計測していった結果が以下の表である。なお、親機と各子機の距離はいずれの場合も約2メートルで、子機側の受信電波レベルがかなり高い中で実験を実施した。

帯域を20MHz幅から160MHz幅まで変えながら測定したスループット(単位:Mビット/秒)
チャネル幅 20MHz(140ch) 40MHz(136ch+140ch) 80MHz(116ch~128ch) 160MHz(100ch~128ch)
測定
部分
(1) (2) 合計 (1) (2) 合計 (1) (2) 合計 (1) (2) 合計
上り 単独 460.62 376.226 788.465 664.565 935.765 935.067 884.747 887.857
同時 65.566 356.77 422.336 124.804 706.313 831.117 530.841 438.929 969.77 413.568 557.459 971.027
下り 単独 305.893 277.791 462.497 501.803 754.889 940.193 608.141 719.487
同時 179.353 139.879 319.232 147.847 387.78 535.627 472.36 544.875 1017.235 712.56 375.985 1088.545

帯域を広げるほど高速に

 20MHz幅から、40MHz幅、80MHz幅と利用する帯域を広げていくと、スループットは順調に増加していった。80MHz幅の実験では、下り方向のスループットで1Gビット/秒を超えた。今回は、2台同時に通信したときの結果だったが、端末の台数が増えればもっと高いスループットを記録する可能性がある。

80MHz幅まではチャネル幅が広いほうがスループットが向上したが、160MHz幅ではほぼ同じもしくは低下する結果になった
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 また、1対1の通信を実験した結果を見ると、80MHz幅の場合で(1)と(2)のいずれも900Mビット/秒を超えた。ちなみに、以前筆者がIEEE 802.11ac(以下、11ac)のAPを使って同様の実験をしたときは、約800Mビット/秒という結果だった。Wi-Fi 6のほうが性能が向上している理由としては、1024QAMなどの新たに搭載した技術が効いていると思われる。

 今回の実験で、Wi-Fi 6のAPを設置した場合は、現在のオフィスや家庭で広く利用されている1000BASE-Tなどのギガビットイーサネットでは、有線の部分がボトルネックになりそうなことが明らかになった。特にバックボーンのような通信が集中する箇所では、マルチギガビット対応への更新を考慮すべきだろう。

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