業務効率化などAIサービスの用途が一般の企業システムに広がってきた。後押しするのがモデル開発が不要で、すぐに使える「学習済みAI」の充実だ。従来型の自社開発AIと学習済みAIのどちらを選ぶか、開発時の選択が重要になる。

 AI(人工知能)を活用したシステムの構築が増えてきた。画像解析技術を利用した工場での不良品検知や、高度な需要予測を活用したWebマーケティングなどAI活用の幅は広がり、一般の企業システムにもその波は及びつつある。

 財務会計システムにAIを適用し、業務効率化を目指しているのが水戸市だ。水戸市は2018年9月から、AIの活用に取り組んでいる。そのプロジェクトの1つが支払伝票の項目から費用計上する科目を推定するAIの実現だ。NECと協力し、テキストの文字を認識してその意味から費用科目を推定するモデルを構築した。過去のデータを使って検証した結果、97%の精度で費用科目を推定できた。

 水戸市の北條佳孝情報政策課長は、「導入の検証を始めて1年たった今、多くの職員の業務効率化にAIが役立つと考えている」と話す。

すぐに使えるモデルを提供

 水戸市が実感しているように、AIは高度な技術を持ったWeb企業やロボット開発などの最先端分野だけで使われるものではなくなってきた。水戸市のように既存の業務システムと組み合わせるなど、AIは企業システムに欠かせなくなってきた。

 AIと言えば、データサイエンティストのような統計の専門家を中心に、大量のデータを様々なアルゴリズムに学習させ、AIの中核になるモデルを作るためにPoC(Proof of Concept、概念実証)を繰り返して開発するのが一般的だ。しかし、PoCで想定通りのモデルが開発できずに、実システムへの実装を前に開発が頓挫するケースもある。

 こうしたスクラッチでAIを開発する「自社開発AI」に対し、もう1つの選択肢として急浮上しているのが「学習済みAI」のサービスだ。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloudなど、主要なグローバルクラウドベンダーが学習済みAIに注力している。クラウドベンダーが検索やストレージといった既存サービスで取得した不特定多数の利用者のデータを、学習用データとして使ってモデルを開発し、その結果をAIサービスとして提供しているものだ。

学習済みAIと自社開発AIの違い
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 画像解析や自然言語処理、翻訳、音声のテキスト化などに加え、レコメンドエンジンやチャットボットなど最近では学習済みAIの種類も充実している。

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