ネット企業やスタートアップを中心に活用が進んできたコンテナ技術が、一般の企業システムでも当たり前になる。その起爆剤となりそうなのが、米ヴイエムウェア(VMware)が同社の仮想マシンに組み込むコンテナ技術だ。同社製品のユーザーはチェックボタン1つで手軽にコンテナを利用できる。

 米IBMのように、ユーザーの既存システムを含めてコンテナ化を支援する動きも普及を後押しする。同社は、アプリケーションサーバーやデータベース(DB)など主要ミドルウエアをコンテナ対応に改造し、企業システムに利用を促す。コンテナの利用環境が一気に充実する2020年、まずはコンテナが使えないかを考える「コンテナファースト」の波が、企業システムに押し寄せる。

仮想マシンの設定1つでKubernetesが利用可能に

 コンテナ普及の鍵を握るのは、コンテナ群を管理する「コンテナオーケストレーター」の1つである「Kubernetes(クーバネティス)」の存在だ。Kubernetesの開発推進団体「Cloud Native Computing Foundation(CNCF)」には米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services)や米グーグル(Google)、米マイクロソフト(Microsoft)、米オラクル(Oracle)、ヴイエムウェアやIBMなどが名を連ね、共同で機能強化を推進。コンテナの利用基盤として、既にKubernetesはデファクトスタンダードの地位にある。

 このKubernetesを、ヴイエムウェアはサーバー仮想化ソフトの「VMware vSphere」に組み込んで提供する。パット・ゲルシンガーCEOは「ヴイエムウェアは数十万の顧客を持ち7000万に上る仮想マシンのインストールベースがある。これをそのままKubernetesフレンドリーに変えていける」と意気込む。ハイパーバイザー「VMware ESXi」の設定1つでKubernetesのランタイムがセットアップされる手軽さは、Kubernetes導入のハードルを一気に下げる。

ハイパーバイザー「VMware ESXi」 にKubernetesランタイム(kubelet)をセットアップするイメージ。取材時に手書きしてもらったもの
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 vSphereへKubernetesを組み込む「Project Pacific」は、現在テクノロジープレビューの段階だ。vSphereのユーザーは、あるタイミングのバージョンアップにより、仮想マシンとKubernetesの併用が可能になる。その利用範囲は、ユーザーがオンプレミス環境に構えるシステムのみならず、多くのクラウドに及ぶ。VMware on IBM CloudやVMware Cloud on AWSなど、VMware製品のマネージドサービスでも使えるようになるからだ。

 同様のマネージドサービスは拡大の一途をたどっている。Microsoft AzureとGoogle Cloud Platform(GCP)は、それぞれ「Azure VMware Solutions」と「Google Cloud VMware Solution」を発表済み。2019年9月には、オラクルも「Oracle Cloud Infrastructure」での同様サービスの提供を表明した。

 もちろんメガクラウド各社はこれまでも独自のKubernetesサービスを提供してきた。AWSの「Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)」やマイクロソフトの「Azure Kubernetes Service(AKS)」などその種類は多い。しかし、これらサービスが新たな契約や設定を必要とするのに対し、Project PacificはvSphere利用の延長線上でKubernetesを試せるのが売りだ。仮想マシンと併用できる点も他社にはない強みといえる。

 企業システムで大きなシェアを持つヴイエムウェアが押し出してきたProject Pacific。その登場は、企業ユーザーがコンテナ活用に乗り出す大きな転機となるのは間違いない。

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