クラウド活用の担い手がIT部門からユーザー部門へ移ってきた。単なるコスト削減からDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現へ、システムからビジネスへと、クラウド活用のステージが変化してきたからだ。ビジネスを知るユーザー部門が直接、クラウド上でサービスを構築、運用する機会は今後ますます増えるだろう。

 ユーザー主導の背中を押すのが、Microsoft AzureやAWS(Amazon Web Services)などメガクラウドベンダーが展開する新たな支援策だ。ユーザーへの教育プログラムや、クラウド活用のフレームワークを充実させ、スキルの底上げを急ぐ。AI(人工知能)に代表される最新サービスの使い勝手を高め、IT利用のハードルも下げる。ユーザー主導のクラウド活用が進むなかで、IT部門やSIベンダーには新たな役割が求められてくるだろう。

クラウドベンダーが直接、顧客の人材を育成

 ユーザー主導の支援策の1つが、日本マイクロソフトは2019年9月に発表した「FastTrack for Azure」だ。Microsoft Azureの利用顧客を支援するプログラムで、2020年1月に提供開始する。「Azure活用のトレーニングやプランのレビュー、アーキテクチャーの検証といった作業についてAzureのエンジニアリングチームが直接、顧客を支援する」(マイクロソフトの沼本健クラウド+エンタープライズマーケティング コーポレートバイスプレジデント)。

FastTrack for Azureのサポート対象ソリューション
(出所:日本マイクロソフト、2019年9月20日時点)
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 「クラウド活用に当たって最大の障壁は顧客のITスキルが足りないこと」。沼本バイスプレジデントはこう課題を指摘する。「顧客にはAzureでやりたいプロジェクトが数多くある。しかし、スキルやキャパシティーの不足から、2個目、3個目のプロジェクトが立ち上げられない」。

 FastTrack for Azureには、IT部門だけでなく、ユーザー部門を含めて顧客のクラウド人材を育成する狙いがある。日本マイクロソフトは、その発表に先立つ8月のFY2020の経営方針説明会でも「クラウド&AI人材の育成」を重点施策の1つに挙げた。新たに「Chief Learning Officer」を設け、マイクロソフト社内、パートナーに加えて顧客のデジタルスキルを向上させていく構えだ。

 クラウドサービスの使い勝手を高め、ユーザー自らがクラウド活用に乗り出しやすくする施策も打つ。沼本バイスプレジデントがポイントとして挙げたのが「Microsoft Power Platform」だ。「PowerApps」「Microsoft Flow」「Power BI」で構成し、ノンプログラミングでワークフローやデータ連携などを組み込んだアプリを開発できる。データの収集から分析までを簡単に行える。想定ユーザーのスキルレベルは「Microsoft Officeを使い慣れた程度」だという。

 「これまでクラウドはデベロッパーレベルのITスキルが必要で、そのため使える人が少なかった」。沼本バイスプレジデントはこう話す。サービスを進化させより使いやすくすれば、利用者のすそ野を広げられるというわけだ。「例えば棚卸し業務を効率化したいとユーザーが考えた場合、棚の写真を撮ってAIに認識させ、PowerAppsでコーディング不要で棚卸しアプリを作れる。ユーザーでも簡単にクラウド活用が進められる」(同)。

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