クラウド活用が企業の基幹系システムに広まる中、クラウドベンダー各社による顧客争奪戦が激しさを増している。これまで自前主義を貫いてきた米オラクル(Oracle)は、米マイクロソフト(Microsoft)、米ヴイエムウェア(VMware)との提携を相次いで発表。ユーザーのオンプレミス環境にある基幹系の巻き取りに照準を絞った。ベンダー各社は方針転換も辞さず、いよいよ“仁義なき”サービス競争へと踏み込んでくる。

ヴイエムウェア製品をオラクルが運用

 オラクルとヴイエムウェアは2019年9月、ハイブリッドクラウド推進に向けたパートナーシップを発表した。目玉は、ヴイエムウェア製品をオラクルのクラウド「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上でマネージドサービスとして提供する「Oracle Cloud VMware Solution」の登場だ。

Oracle Cloud VMware Solutionの概要
(出所:日本オラクル)
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 Oracle Cloud VMware Solutionは、ヴイエムウェアのクラウド基盤ソフト「VMware Cloud Foundation」をOCIのベアメタル(物理サーバー)に導入して提供する。Cloud Foundationは、仮想サーバー(VMware vSphere)、仮想ストレージ(VMware vSAN)、仮想ネットワーク(VMware NSX)などで構成する。ソフトウエアのバージョンアップやパッチ適用といった運用はオラクルが担うとみられる。

 オラクルの狙いは、ヴイエムウェア製品で構成するユーザーの既存システムを、オンプレミス環境からOCIにスムーズに移行。そのうえで、「Oracle Database Cloud Service」や「Oracle Exadata Cloud Service」など同社サービスとの連携を推進することだ。日本オラクルの竹爪慎治クラウド事業戦略統括は「これまでは、ハイパーバイザーをVMwareからOracle VMに変換する手間などが移行の障壁になっていた。新サービスの登場でヴイエムウェア製品をそのままOCIに持ち込めるようになる」、とメリットを話す。

 VMware Cloud Foundationをクラウドで提供するサービスは既に数多くある。IBM、AWS(Amazon Web Services)、NTTコミュニケーションズ、富士通などが提供済み。Microsoft AzureやGoogle Cloudも提供予定だ。ただ、自前主義で鳴らすオラクルが、自社の方針を転換してまで基幹系を取りにきたインパクトは大きい。

 竹爪クラウド事業戦略統括は、ここ数年の準備を経たうえで同社が大きく方針転換してきたと話す。「これまではハードからソフト、アプリ開発まで自社だけで最適なスタックを提供しようと注力してきた。今は、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドといったユーザーニーズに応えるために、他ベンダーとの連携に舵(かじ)を切っている」。

 ヴイエムウェアと並んで、オラクルの方針転換を強く印象付けたのが、マイクロソフトとの提携だ。

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