「COBOLシステムの全面刷新は断念しました」――。大手企業A社のシステム部長はこう言って肩を落とす。25年以上使ってきた顧客管理システムをCOBOLからJavaへと書き換え、プラットフォームを一新する計画だった。ところが想定以上にプログラムが存在していたうえに、その中身を知るメンバーはいなかった。ドキュメントもほとんどなく、発注先である開発会社が「白旗」を挙げてしまったという。

6割を超える企業に「COBOL」が存在

 日経クロステックの調査によると、国内にはレガシーシステムがいまだ数多く存在している。ユーザー企業は社内に、ITベンダーは担当企業にCOBOLを使った情報システムがあるかどうかを聞いたところ、実に6割を超える回答者が「ある」と答えた。さらにこのうち4分の3を超える企業では、具体的なリプレース計画も無い状況だ。

 レガシーシステムの放置はDX(デジタルトランスフォーメーション)を阻害する要因となる。これに警鐘を鳴らすのが、経済産業省が2018年9月に発行した「DXレポート」だ。2025年までにレガシーシステムを刷新できなければ「崖」から落ちるという、極めて辛らつな表現を使って危機感をあおっている。

 とはいえ企業から見れば、システム刷新が一向に進まない事情がある。代表的なのは「プロジェクトが大規模になりやすい」「専門知識を持つ技術者を確保しにくい」「投資対効果が見えにくい」という三つだろう。事実、A社もまさにこの難題にぶつかり、プロジェクトがとん挫した1社だ。

 とりわけ改修に改修を重ねてきた大規模なCOBOLシステムの場合、プログラムやデータ構造を理解するのは容易ではない。定年や高齢化などでCOBOLのプログラミングスキルを持つ人材も枯渇している。そもそも投資額が大きいだけに、経営陣を納得させる投資対効果を示すのも難しい。

クラウド上でCOBOLシステムを動かす

 だがここで、レガシーシステムの「全面刷新」ではなく「一部刷新」と発想を変えてみたらどうか。三つの課題も軽減されるかもしれない。冒頭のA社はCOBOLからJavaへの書き換え(リライト)こそ諦めたが、プラットフォームを安価なオープンシステムに切り替え、今後はDX系の外部システムとも連携できる改修を施すという。スピードと変化が求められる時代だ。「全面刷新」に固執する企業は悲惨な末路をたどりかねない。「一部刷新」でも2025年の崖から落ちない道を作れるはずだ。

 最近はクラウド上でCOBOLシステムを稼働させるソリューションも登場している。サーバーレス環境で必要な時に必要な分のリソースを割り当てれば、運用コストを大幅に下げられそうだ。レガシーシステムをほぼそのままに、外部システムとの連携を可能にするAPI(Application Program Interface)を採用する動きも増えている。

 重要なのは「全面刷新」を目的化しないこと。時代に合わせたシステムの近代化を「ITモダナイゼーション」と呼ぶが、ロードマップを描いて自分たちに合う現実的なアプローチを検討すべきである。

 もっとも、DX&ITモダナイゼーションのアプローチは多岐にわたるうえに高度な技術力を求められる。外部のITベンダーとのコラボレーションは不可欠だ。日経BPが提供する「Active一括提案依頼サービス」はそんなニーズに応えるマッチングサービス。簡単な質問に答えるだけで複数のITベンダーからDX&ITモダナイゼーションの提案を受けられる。レガシーシステムの放置、塩漬けだけは避けたい。新たな気づきを得る意味でも、2025年の崖から落ちない解決策を求めてみてはいかがだろうか。