前回は、B2Bマーケティングで使う顧客データに「誤った情報」が紛れ込むことで発生する問題を、上水道に下水道の水が混じることにたとえて説明しました。

 この中で、データを扱う際に必要な要件となる4項目を挙げました。

  1. データ品質に関する理解
  2. 品質の定義
  3. 構造の定義
  4. 説明責任と権限の定義

 今回は、データを扱う際に必要な要件の3番目から解説します。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

3.構造の定義

 B2Cと異なり、B2Bは製品やサービスを組織(企業)が購買するため、「購買に携わる個人がどの企業に所属しているか」が、非常に重要になります。ここで前回解説したように、個人が属する企業名をSoT(Source of Truth:SoT、真実の情報ソース)で定義できていれば、企業を一意に識別できます。

 企業に属する個人の情報は、識別された組織データ(上の例では企業名)にひもづけることで、企業との関係性を明確にできます。その上で個人の識別には、「e-mailアドレス」を使うのが一般的です。原則として、同一企業内に同じe-mailアドレスを持つ人が複数いることはあり得ないからです。

 ただし同じe-mailアドレス(つまり同一人物)でも、関連情報を取得した時期の違いによって、部署や役職が異なっている場合があります。こうした異動などの情報を追跡し、正しい現状を把握するのは困難です。しかし国内なら「Sansan」、海外なら「LinkedIn」といった個人を識別できるプラットフォームを活用することで、把握が可能になる場合があります。

 企業という視点で見ると、親会社とグループに属する会社の関係が不明確な場合があります。株式の保有比率や会社の成り立ちの経緯などによって、「子会社」「関連会社」「関係会社」「グループ会社」などいろいろな呼び方の会社が存在しています。

 筆者は、資本関係による連結決算の対象になるかならないかで、「親会社」と「グループ会社」の関係を区別しています。これが最もシンプルで、情報の入手も容易となるからです。

4.説明責任と権限の定義

 データ品質が劣る企業は、この問題に説明責任を持つ人物を決める必要があります。日本企業がデータ品質を高められない理由には、「データ品質に関して誰も説明責任を問われないこと」が根源にあると考えています。

 その前に、少し長くなりますが、企業名を例に日本でのデータマネジメントの難しさについて説明しましょう。この難しさの原因は、日本語の言語的特性にあります。

 外資系企業に勤務した経験がある方なら「日本はダブルバイトだから難しい」という話を耳にしたことがあるかもしれません。これは欧米諸国の言語が基本的にシングルバイト(アルファベットなど、1バイトの文字コードで表記される文字)であるのに対して、日本語はダブルバイト(2バイトの文字コードで表記される文字)を使う場合が多いことを意味しています。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。