2020年12月28日、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会」の中間報告書となる『DXレポート2(中間取りまとめ)』を発表しました(https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.htmlを参照)。日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)を加速するため、企業がとるべきアクションと政府の対応策を検討した結果をまとめたものです。

同レポートの本文では、日本企業のDXについて以下の指摘をしています。
先般のDXレポートでは「DX=レガシーシステム刷新」等、本質的ではない解釈を生んでしまい、また「現時点で競争優位性が確保できていればこれ以上のDXは不要である」という受け止めが広がったことも否定できない。
コロナ禍が事業環境の変化の典型であると考えると、DXの本質とは、単にレガシーなシステムを刷新する、高度化するといったことにとどまるのではなく、事業環境の変化へ迅速に適応する能力を身につけると同時に、その中で企業文化(固定観念)を変革(レガシー企業文化からの脱却)することであると言える。
この文章を読み解くと、2018年9月の「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」(デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会)で取り上げた「2025年の崖」というキーワードが、「レガシーシステムの刷新で回避できる」と捉えられたことへの反省に立っているようです。その上でDXの本質を、「企業文化(固定観念)の変革」と改めて定義しています。
企業のあらゆる部門で文化の変革が求められている
ではDXを進めようとするB2B企業は、そのために何をすべきでしょうか。そしてB2B企業内のマーケティング組織がなすべきことは何でしょうか。
DXレポート2にある「DXの本質=企業文化の変革」を、筆者なりに3つのリエンジニアリング領域に因数分解してみます(図)。
- バックオフィス部門が携わる、既存業務運用のための「オペレーション・プロセス」
- R&D部門が携わる、製品・サービス開発のための「プロダクト・プロセス」
- 営業・マーケティング部門が携わる、収益拡大のための「レベニュー・プロセス」