要件定義で関係者の合意を固められると後工程の手戻りを減らせるが、一筋縄ではいかないものだ。本特集では日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集し、ITコンサルタントが現場で培った実践ノウハウを紹介する。

 部署や役職など立場の異なるメンバー(参加者)が集まって議論する要件定義の会議では、お互いに探り合いながら遠慮がちに話す傾向があり、本音を言いにくい雰囲気になりやすい。これでは参画意識は高まらない。

 そこで進行役のファシリテーターは、メンバーが本音で発言しやすい雰囲気を作る必要がある。筆者が実践している、「アンケートとルール設定で本音を言いやすい環境を作る」という方法をいくつか紹介しよう。

 まず、メンバーに発言してもらいたい内容に関して事前に記入式のアンケートを取り、それを会議での議論のたたき台にするという方法だ*1。例えば「顧客対応に関して問題だと感じていることは何ですか」といった質問に答えてもらい、回答結果を整理した資料を会議冒頭で配布する。

*1 アンケートの代わりに、ヒアリングを実施するケースも多いが、高いスキルが要求されることを認識すべきだ。アンケートでは文章として記述する過程で、メンバーが自分の考えを整理する。一方のヒアリングでは、メンバーが整理しないまま思いつきで話すこともある。そのため意見の理解やニュアンスの受け取り方を間違えることが起こりやすい

 会議の場では言えないことでも、アンケートには書きやすい。それを会議でいったん俎上(そじょう)に乗せてしまえば、本音を言いやすくなる。

 アンケートを取る際には、回答するときの視点・視座・視野を明示しておく。例えば前述した「顧客対応の問題」では、効果的で一貫性のある顧客アプローチを阻害している問題について(視点)、部署を代表する立場で(視座)、営業・サービス部門の業務を対象に(視野)、回答してもらう。

 このほか、本当に重要なことは何かをメンバー各自に考えてもらうために「重要なことを3つに絞って」といった条件を付けるのも有効である。

話しやすい空気を作るルール

 本音を引き出す工夫としては、会議の冒頭で「ルール」を宣言することも挙げられる。筆者がよく使う5つのルールを以下に示した。

会議でメンバーの本音を引き出すために役立つルールの例
筆者が効果を実感しているルールを示した。事前にプロジェクトマネジャーなどの承認を得ておき、会議の冒頭で宣言し、壁などに貼り出すとよい。ルールを守ろうとしない人がいたら穏やかに諭し、休憩時間などに個別に話すなどして説得する
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 1つ目は「経営的見地に立つ」。これは先に述べた視座の設定に当たる。所属部門や個人の立場にとらわれず、企業全体のことを考えて発言してもらうのに有効だ。

 次の3つのルール、「全員の立場は対等」「批判は厳禁、討論は自由」「建前無用」は、無用な気遣いや意見のつぶし合いを防ぐためのルールである。

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