プレゼンテーションはセオリーを理解した上で実践するとスキルアップが早くなる。本特集では日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集した。プレゼンの現場でのトラブルや過度な緊張への対処策と合わせて解説する。

 「人前で話す才能がない」「大勢の人を前にするとアガってしまう」「自分は技術屋だから」──。こんな理由でプレゼンテーションの上達をあきらめていないだろうか。そんな考えは今すぐ捨ててほしい。

 生まれつき話すのが得意な人や人前でアガらない人など、ほとんどいない。プレゼン上手と言われる人も、たいていは場数を踏みながら改善点に気付き徐々に上達したのである。技術職であっても、何かを分かりやすく説明するスキルはもはや必須になっている。

 筆者のビジネススキル講師としての経験から言えるのは、個人差はあっても基本的なポイントを押さえて実践を重ねれば、誰もが短期間で見違えるように上達するということだ。筆者はそういうITエンジニアを数え切れないほど見てきた。場数を踏む必要があるのは事実だが、あらかじめポイントを知っておくかどうかで上達のスピードはまるで違う。

 個々のポイントを解説する前に、まずは聞き手の視点で、ITエンジニアにありがちなプレゼンテーションのシーンを観察してみよう(文中の(1)~(10)の番号は後述するポイントとの関連を示す)。

 今日は、当社が導入を検討しているCRM(顧客関係管理)システムの概要について、ITベンダーから説明を受けることになっている。出席者は副社長の私を含め合計10人だ。最初にITベンダーの営業担当者がプレゼンターを紹介した。CRMに詳しいSEとのことだ。

 プレゼンターは小さく一礼してすぐに「今日は弊社のCRMソリューションについて説明いたします」と話し始めた。一目見てよれよれのスーツに気付いた─(1)。緊張しているのか、早口で声が小さく聞き取りにくい─(8)。

 その後、プレゼンターはずっとスクリーンを向いて話を続けている。「本当に話を聞かせるつもりがあるのか」と感じずにはいられない─(2)。時折こちらを向くが目を合わせようとしないので、話の内容に自信がないのかと思ってしまう─(3)。

 途中から技術的な内容になり理解できない点が出てきた。しかしプレゼンターは構わず話を進めていく─(4)。配布資料に目を通していたら話が急に別のページに飛んだことに気付いた。そのページを探しているうちに、話はさらに進んだ─(7)。

 プレゼンターは説明の途中で「CTIシステムとの連携」に言及した。CTIって何のことだったろうか?質問はいつ受け付けるのだろう?─(6)。言葉が分からないことが引っかかって説明が頭に入ってこない─(10)。

 説明が一通り終わり質疑応答に移った。疑問だったCTIシステムについて質問したところ、プレゼンターは「弊社のシステムが標準で連携できるのは……」と、こちらの意図とはズレた答えを返してきた─(5)。質問を繰り返したが、やはり要領を得なかったので最後はあきらめた。

 プレゼンテーションは終了。結局、プレゼンターが何を一番訴えたかったのか分からないままだった─(9)。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。