プレゼンテーションはセオリーを理解した上で実践するとスキルアップが早くなる。本特集では日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集した。プレゼンの現場でのトラブルや過度な緊張への対処策と合わせて解説する。

 プレゼンテーションが近づくにつれて緊張感が増してくる。ドクドクドクと心臓が鳴り、ノドはカラカラ、息苦しささえ感じる。手のひらにかいた汗をハンカチでぬぐうと、手が小刻みに震えているのに気づく。本番になったら、ろれつが回らないんじゃないか。不安がさらに高まり鼓動がますます激しくなる──。

 いわゆる「アガリ」の症状である。こんな状態になると、聞き手を納得させるプレゼンテーションを行うことは難しい。とにかく話をするだけで精いっぱい。ゆっくりと大きな声で重要なことを強調したり、聞き手の様子を見て質問を投げかけたりする余裕はない。

 アガリを何とかしたいと思っている人は多いはず。実はアガリを完全に防ぐのは難しいが軽減する方法はある。それは臨床心理学に基づいた、科学的に効果が実証されたアプローチだ。

アガリは人間の本能

 まずはアガリが起きるメカニズムを知ってほしい。それが、アガリを抑える第一歩になる。

 ある臨床心理士によると、アガリは人間が本能として備えている体の働きだという。原始の時代、ヒトは猛獣に狙われる弱い存在だった。実際に襲われたら、全力で戦うか逃げるしかない。

 そのために本能として、危機にひんしたとき体を臨戦状態にする仕組みが備わった。運動能力をフルに発揮するために、モモや胸、腰など大きな筋肉への血流量を増やす。同時に、ケガをしても大量に失血しないよう体の末端への血流量を減らす。

 こうした体の変化は、恐怖や不安をきっかけとして脳から「ノルアドレナリン」や「アドレナリン」といったホルモンが分泌することで起きる。これらのホルモンによって脈拍が高まり血圧が一気に上昇する。動脈への血流の増大によってモモや背中などの筋肉が大きくなると同時に、筋肉がこわばって末端への血流が悪くなり呼吸が浅くなる。

 プレゼンテーションへの不安が増すほどアガってしまうのは、ホルモンの分泌によって体が臨戦状態になるからだ。何の不安も感じなければアガらないが、なかなかそういうわけにはいかない。

不安をコントロールする

 ではどうしたら、不安という精神状態をコントロールできるのだろうか。臨床心理学で提唱されているアプローチはいくつかあるが、手軽に実践できる方法として「呼吸法」「筋リラクセーション法」「イメージ・トレーニング法」の3つがある。

 1つ目の呼吸法とは、ゆっくりと大きく深く呼吸することによって心を落ち着かせる方法だ。リラックス状態に戻そうとする「副交感神経」が刺激されて不安感が緩和される。簡単に言うと深呼吸だが、肺を大きく膨らませて息を吸うという意識ではうまくいかない。10数秒かけてゆっくりと息を吐き切ることに意識を向けるのがコツである。ほかの2つの方法の基礎にもなるので、やり方をしっかりとマスターしてほしい。

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