簡単な設定で自律的にコースを走る1:18スケールのAI(人工知能)ミニカー「DeepRacer」、メロディーを入れると自動で伴奏をつけるAIキーボード「DeepComposer」――。

米アマゾン・ウェブ・サービス AIデバイスディレクターのマイク・ミラー氏と、自律運転カー「DeepRacer」(右)、AIキーボード「DeepComposer」(下)
[画像のクリックで拡大表示]

 これらは米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services)が「Deepシリーズ」として提供するハードウエアだ。2つに共通するのは、ハイテクなおもちゃとしてではなく、開発者が機械学習技術を学ぶ「AI入門教材」として設計されている点である。日本がAI人材の育成に官民挙げて取り組む中、参考にすべき事例といえる。

re:Invent 2019の世界大会で日本人が1位、2位

 2018年11月に発表されたDeepRacerは、実機や実コースがなくてもシミュレーション環境でレースを楽しめるハードルの低さもあり、1年の間に利用が広まった。世界中の数万人もの開発者が、周回コースを最速で回る機械学習モデルの構築に参加。アクセンチュア(Accenture)は2019年11月、世界30拠点で社員が24時間にわたり周回時間を競うプライベートイベントを開催した。

 AWSは米ラスベガスで開催した年次イベント「re:Invent 2019」で、世界各地のDeepRacerリーグから選抜された64人が3日間にわたって実機でタイムを競う「AWS DeepRacer Championship Cup」(現地時間2019年12月3日~5日)を実施。日本から出場したDNPデジタルソリューションズの社員2人が1、2位を獲得した。

AWS DeepRacer Championship Cup決勝戦の様子
[画像のクリックで拡大表示]
90秒間で最速のラップタイムを競う
[画像のクリックで拡大表示]
10秒台を出した「SOLA」が勝利
[画像のクリックで拡大表示]
1位~3位にそれぞれカップが手渡された
(出所:DNPデジタルソリューションズ)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社がDeepRacerに取り組んだ発端は、社員がDeepRacerにほれ込み少人数でDeepRacerの社内コミュニティーを結成したことだった。1年たち、今や社員の1割に当たる100人ほどがコミュニティーに所属する。月1回のペースで全国の社員が自慢のクルマ(の機械学習モデル)を持ち寄り、シミュレーション環境で社内レースを開催してきたという。

 強化学習において自律走行の方針を決める「報酬関数」をセットしてから機械学習モデルのトレーニングを完了するまでに7~8時間かかる。このため「業務のすきま時間を使って報酬を再設定し、AWSの環境で学習を実行させていた」と、大会で優勝した同社のコミュニケーションプロセス開発本部に所属する瀧下初香氏は明かす。

DNPデジタルソリューションズ コミュニケーションプロセス開発本部の瀧下初香氏
[画像のクリックで拡大表示]

 この社内コミュニティーを支援してきたDNPデジタルソリューションズの福田祐一郎社長は「DeepRacerを通じ、AIの専門家ではなく『AIビルダー(構築者)』を社内育成したい」と語る。「自社データセンターの空調最適化など様々な分野で機械学習技術を生かせると期待している」(福田社長)

DNPデジタルソリューションズの福田祐一郎社長
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。