スポーツにおけるデータ活用が急速に進んでいる。慶応義塾大学システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科の神武直彦教授によれば理由は2つだ。

 1つは国内で相次ぐスポーツイベントの存在だ。ラグビーW杯や東京オリンピック・パラリンピック、2021年の生涯スポーツの総合競技大会「ワールドマスターズ」など、大きなイベントが立て続けに開催される。スポーツに注目が集まり、日本代表チームを強化する機運が高まっている。

 もう1つはIoT機器やGPSといったセンサー類の普及だ。機能や性能が上がってきたのと並行して価格が下がってコモディティー(日用品)化が進み、データを取得しやすくなった。

 ラグビー選手やサッカー選手が着けているGPSデバイスは20年前なら数十万円したが今は1万円程度だ。効果的かつ効率的に勝つためにデータを活用する環境が整ってきたわけだ。

 とはいえ「重要なのは技術シーズではなくて、関係者のニーズや理想、それを実現するシナリオだ」と神武教授は強調する。スポーツチームの取り組みから、企業にとっても参考になるデータ活用の必勝法が見えてきた。

図 スポーツチームに学ぶデータ活用3カ条
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明確な目標があってこそ

 第1のポイントはデータ活用のゴールを明確に設定すること。やみくもにデータを集めても意味がない。明確な目的があってこそ、ためるべきデータが見えてくる。

 ラグビー日本代表が躍進を遂げたのも、まず勝つためのKPIを設定したからだ。そのうえで試合中の動きや身体能力など必要な要素を整理、分解し、IT機器を使ってデータを集めて練習メニューに落とし込んだ。

 同様に例えば「10年後の優勝」を目標にした場合、選手やスタッフなどがどうなっているべきかというゴールイメージの共有が重要になる。ゴールを明確にできていれば、選手の強化や練習環境の整備についてステークホルダーの悩みや不足点を洗い出しやすい。目標と課題を明らかにして初めて、集めるべきデータの種類と量、データ収集の手段であるIT機器や分析システムを整備できる。ゴールから逆算して仕組みや組織、制度などを設計する考え方を「システムデザイン」と呼ぶ。

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