Q. 知人の紹介でソフトハウスに入社して3カ月、言われていた通り給与は26万円です。この中に、自宅か賃貸かに関係なく、全員に支給される住宅手当の5万円が含まれています。先月は残業が多かったので残業代を確認したところ、支給額が少ない気がします。問い合わせたところ、住宅手当の5万円は残業手当の計算外だからと言われました。理解できないです。

 住宅手当という名目で支給することにより、残業手当を減額するブラックな会社に入社したのかもしれません。質問者の会社は悪意なく運用しているのかもしれませんが、間違っています。

 住居要件に関係なく社員全員に一律で支給する「住宅手当」は、意味合いからいうと住宅手当ではありません。質問のケースのような支給運用にすることで残業手当をカットしている会社があります。これは労働基準法違反です。

 質問者はよく気付きました。ソフトウエア開発などで納期が近づき、残業続きのときこそきちんと給与明細を確認してください。

一律支給の住宅手当は残業手当の計算対象

 さて、あなたはA社とB社、どちらに入社したいでしょうか。両社とも総支給額は同じです。
 ・A社 基本給26万円
 ・B社 基本給21万円 住宅手当5万円

 一見、どちらの会社に勤務しても支給額は26万円で同じように思います。しかし、質問のケースと同様に、B社が住宅手当5万円を残業手当計算時の対象外にしているとどうでしょうか?

 残業があれば支給額が違ってくるのです。A社よりB社のほうが支給額は少なくなります。これは残業単価が異なるからです。

 残業単価は、(基本給や他の各種手当の総額)÷(1カ月の平均所定労働時間)×125%で求めます。残業については最低25%以上の割増支払いが必要です。分子となる金額が少ないほど、当然に残業単価は安くなります。

 計算してみましょう。シンプルに考えるため、仮に月平均所定労働時間が160時間、基本給だけを使って求めるとA社は(26万/160時間)×1.25=2031円、B社 は(21万/160時間)×1.25=1641円となり、B社のほうが少なくなります。

 なお、残業単価や残業手当に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げます。もちろん単純な切り上げも、社員が得するのでかまいません。

 この分子となる金額に住宅手当は含めなくてもよいと法令で認められています。

 ただし、全員一律に支給する住宅手当は、住居要件にかかわらず支給されることになるため住宅手当とみなされません。残業単価計算で分子に含めなければならないのです。

 住宅手当という支給名称なので、残業単価の算出において除外している会社があります。悪意のあるなしに関係なく、結果的に残業手当カットになっています。これは労働基準法違反です。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。