Q.IT企業に勤めているエンジニアです。データ分析の事務として異業種の会社で副業をしています。IT企業で副業は許可されているのですが、毎月の勤務状況の申告を求められています。とても面倒です。副業先の勤務状況を申告する必要があるのでしょうか。プライベートタイムでの副業なので、管理されたくありません。

 「副業推進」「副業解禁」といったニュースをよく目にします。副業する社員側から見れば、定時後や休日での副業は自由なのに申告はおかしいと思うのかもしれません。一方、副業を解禁した会社は、副業先の勤務時間を通算して把握しなければなりません。会社側も面倒なのです。

副業先を含めた労働時間の通算

 労働基準法(32条)で、労働時間は原則、1日8時間で週40時間と定められています。この時間枠を超えた部分について割り増しの残業手当を支払う必要があります。

 この「1日8時間で週40時間」という時間は、1社での労働時間ではありません。労働基準法(38条)には「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とあります。「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合も含むとされています。

 また、2020年4月より労働基準法で残業時間の上限規制が設けられました(大企業は2019年4月から適用)。複数月平均で80時間、単月で100時間を超えてはいけないというものです。過重労働による健康障害を減らすためにも当然の改正だったと思います。

 副業先の労働時間も通算しますので、健康配慮や労働基準法順守のために管理が必要となります。こういった事情があることを質問者は理解してください。

 質問の「勤務状況報告が必要か」に対する回答としては、「必要です」となります。自己申告での報告には応じてください。会社としては、副業先のことは社員に聞かなければ分かりません。質問者の勤務先は、きちんと管理している会社だといえます。

 なお、社員からの自己申告なので、実際の副業時間と異なる場合や申告がない場合もあります。実際の時間との相違についてまで、会社に責任は求められていません。

残業手当は副業先が支払うのか?

 では本業先と副業先、2つの会社の労働時間合計で、1日8時間で週40時間を超えた部分の残業手当を、どちらの会社が支払うのでしょうか。

 質問者の場合、本業であるIT企業に勤めていて雇用実績があります。その後、副業先と雇用契約を締結して働いています。雇用契約の前後は、IT企業が先で、副業先が後です。

 こういった場合、通常は後から雇用契約をした副業先が残業代を支払います。例えば、IT企業で8時間の定時間勤務後に、副業先で3時間働いたとします。副業先では、8時間を超えた労働からスタートになるので、3時間分は25%割り増しで賃金を支払う必要があります。

 一方、本業先であるIT企業は副業先の3時間の残業についても自社分と通算して管理して法令上の残業制限を順守し、社員が過重労働にならないように配慮しなければなりません。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。