Q.ITエンジニアです。顧客システムの開発を行うIT企業をもうすぐ退職します。退職後にソフトハウスを設立する予定です。従業員はおらず、私1人での出発です。退職に当たって、会社から、秘密保持誓約書や競業避止義務の誓約書を提出するように言われました。守秘義務については異存はないのですが、同業種への転職や起業に関する制限事項があり部分的に気になっています。誓約書を提出しないと退職できないのでしょうか。提出することで不利益を被らないかと不安です。

 退職時に秘密保持や競業避止義務の誓約書を求める会社は多いと思います。機密情報の漏洩防止のためです。誓約書の提出がある会社では、退職手続きで必要だとしてルールにしています。

 筆者は、勤めていたIT企業を退職するときに誓約書を提出しました。ずいぶん昔の話です。退職関係の申請書類(退職届、誓約書など)がWord文書で用意されていました。社内サーバーからダウンロードして日付や氏名を入力し、なつ印の上、提出します。会社が誓約書を求めるのは自然なことだと思います。

誓約書を提出しなくても退職できる

 誓約書を提出しなければ退職できないのでしょうか?そんなことはありません。誓約書を提出しなくても退職できます。会社は、社員の退職を拒否することはできません。人を強制的に働かせ続ける、つまり退職させないことはできないからです。

 民法627条は、当事者は「いつでも解約(注:退職)の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めています。

 会社は誓約書のひな型を用意しています。入社時にも同じような誓約書を提出させている会社は多いです。入社のときに誓約書の提出を拒む人はいないと思いますが、退職のときは拒む人もいるようです。提出しなくても、上述したように退職することができます。 

 提出するのはよいが、質問者のように部分的に腑(ふ)に落ちない箇所があるかもしれません。会社に申し出て、その部分を修正して提出してもよいでしょう。

 誓約書の提出トラブルや他の事情も含めて、退職するときにトラブルになることがあります。会社と話し合うのは面倒だとして、退職代行会社や弁護士に退職代行を依頼する社員がいます。

 なお、退職代行会社は、弁護士と違って本人の意思を伝えることしかできません。いずれにせよ、本人への連絡は第三者を経由することになるので、会社側は面倒です。本人からすると、会社と直接話をしなくてよいので気が楽になります。

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