早期退職制度に応募したり、前回取り上げた「転身部屋」への異動を命じられたりすると、資格取得をしようと思い立つ人が少なからずいます。時間ができたのでこの機に資格を取って、転職や起業の足がかりにしようというわけです。

 筆者もよくこうした相談を受けます。40代以上の人から相談が多い資格の1つが、鍼灸(しんきゅう)師です。長い間の会社勤めで疲れた自分の体や心を癒やしたい、せっかくなら同じような思いをしている人を癒やせる仕事に就きたい、と考えるのでしょう。

 鍼灸師になるには、3~4年制の養成学校を卒業し、「はり師」「きゅう師」という2つの国家資格の取得が必要です。学費は一般的に、300万~500万円ほどかかるようです。生半可な気持ちでチャレンジできる資格ではないでしょう。

 ほかには「税理士」「社会保険労務士」「産業カウンセラー」なども人気です。これらも、数年間の勉強が必要、学校に通わなければ理解が難しい内容も多いなどハードルは決して低くありません。

 40代以上の人が、このように難度が高い資格取得を目指しがちなのには理由があります。せっかく時間があるのだから、普通の会社員には取得が難しそうで資格保有者が少ないものを選ぼうとするのです。資格を基に開業しても、競合が少ないだろうとの思い込みもあります。

「資格を取れれば安泰」ではない

 こうした相談者に対して、筆者は冷静に考えるようアドバイスしています。第一に、学習に対するモチベーションを維持できるのか。資格取得にかける期間の生活費はどうするのか、資格取得後は開業するのかどこかに就職するのかなども整理することが必要です。

 「資格を取って人の役に立ちたい」という強い思いがあるのなら、もちろんチャレンジする価値があります。しかし「取得にこれほど多くのお金と期間がかかるなら、ほかに挑戦する人は少ないだろう」「合格者が少なければ、開業すればすぐに売り上げが上がるだろう」といった考えで資格取得に乗り出すのは危険です。

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