新型コロナウイルスの感染拡大で、2021年を迎えても転職市場の先行きは不透明です。筆者は年始、ヘッドハンターのモリさん(仮名)に連絡を取って意見交換しました。この連載にもたびたび登場するモリさんとは、25年来のつきあいです。モリさんと筆者はなぜか、世の中の景気が悪くなると仕事が忙しくなり売り上げが伸びるという共通点があります。

 そんなモリさんの会社は、コロナ禍に見舞われた2020年に過去最高の利益を達成したそうです。「早期退職」「雇用調整」などのニュースが相次ぐ中、なぜなのでしょう。

 モリさんは、ヘッドハンティングや再雇用支援を広く手掛けています。さらに、求職者向けのキャリアコンサルティングをほぼボランティアで引き受けています。そんなモリさんによれば、「リーマン・ショックのときはもっとひどかった。今はあのときより悪くない」とのことです。

 確かに厚生労働省の発表を見ると、有効求人倍率はそれほど下がっていません。2020年12月25日発表の「一般職業紹介状況(令和2年11月分)について」によれば、有効求人倍率(季節調整値)は1.06倍。前月を0.02ポイント上回りました。

 リーマン・ショックの影響を受けた2009年の11月は0.44倍まで下がっていたので、それに比べればまだまだ高い水準です。1倍を下回った道府県が15あることから地域によって状況に差がありそうですが、全体で見ればリーマン・ショック時ほどの落ち込みはないようです。

 モリさんの専門領域はITとコンサルティングなのですが、IT企業の求人意欲はまだまだあるとのこと。人手不足感が強まった2018~2019年にうまく人材を集められなかった中小企業やベンチャーの採用意欲が特に強いそうです。またコンサルティング業界は、コロナ禍によるビジネス環境の激変に対応するため、採用を活発化させています。それでモリさんは忙しくて仕方がないのだそうです。

 こうした業界にどのような応募者が採用されるのか質問してみたところ、モリさんから返ってきた答えは「即戦力」。2018~2019年ごろは、自社が求める人材像と少し異なる人でも、研修やOJT(職場内訓練)などで育成する余裕がありました。しかしこれまでにないほど急激な変化にさらされる現在の事業環境では、入社直後にプロジェクトに投入されても、プロジェクトマネジャーの指示の下で確実に業務をこなせる人が求められているのでしょう。

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