撮影した写真が翌朝9時まで見られない――。米Dispo(ディスポ)のそんな写真共有SNS(交流サイト)アプリ「Dispo」がブームになりそうだ。Dispoは写真にフィルター(加工)をかけられず、スマートフォンに保存している画像のアップロードもできない。なぜ注目を集めているのだろうか。
スマホ版の「使い切りカメラ」
Dispoを発案したのは、著名なYouTuberであるデビッド・ドブリック氏だ。同氏はDispoを創業してiOS向けのベータ版アプリを公開。テスター(試用者)にアプリを配布できる米Apple(アップル)の「TestFlight(テストフライト)」において、2021年2月時点で配布の上限である1万人を超えるほど人気を集めた。
同月中にDispoのiOS向け正式版をリリース。招待制アプリとして音声SNSの「Clubhouse(クラブハウス)」のように注目を集め、すぐに招待制を撤廃。同年3月のアップデートで日本語に対応した。
Dispoは「disposable(使い捨て)」にちなんで付けた名称で、レンズ付きフィルム(使い切りカメラ)をイメージさせる。ドブリック氏は、Dispoを開発する以前からInstagramに使い切りカメラで撮影した写真を投稿していた。
DispoのWebサイトには「live in the moment(瞬間を生きる)」と掲げ、以下のような記述を載せている。
「A digital disposable camera experience allows us to reclaim our lives from our phones(筆者訳:デジタルの使い切りカメラ体験を通して、携帯電話から私たちの生活を取り戻すことができる)」。
スマホで撮影すると、写真の確認や撮り直し、SNSへの投稿といった一連の作業に追われ、その場を楽しめないことがある。Dispoのように翌朝まで何もできなければ、その場の時間を一瞬も逃さず楽しめるというわけだ。
シャッターを押すだけの単機能
写真共有SNSの代表格といえばInstagramだが、Dispoはそれとはだいぶ異なる。アプリを起動すると、画面中央に小さなファインダーが表示される。あまりにも小さく、配置や角度などを試行錯誤したくてもうまくできない。
撮影前に操作できるのは、ズームとフラッシュのオン/オフ、アウトカメラ/インカメラの切り替えのみ。フィルターもない。「映え」は意識せずに、どんどんシャッターを押していくのみだ。