管理会計システムを活用し、売り場や販売チャンネルごとの損益管理を強化。物流や基幹のシステムもクラウド化して、業務プロセスの改革を進める。新型コロナ禍でインバウンドが見込めない中でも成長できる体制を目指す。

(写真提供:多慶屋)
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 「当社の経営環境は新型コロナウイルスの影響などで厳しい状況にある。こういうときだからこそ、ITを活用して経営基盤を筋肉質にしていく」。多慶屋の伊藤欣司取締役経営企画兼人事総務兼不動産施設管理担当は力強く語る。

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 同社は新型コロナ禍で来店客が大きく減る中、管理会計システムを活用して実店舗やネット通販の収益性向上に取り組んでいる。損益に関する情報を多次元で分析することで、売り場や販売チャネルごとの損益管理を徹底。2020年5月には、採算性の向上が見込めないと判断した電子商取引(EC)モール内店舗の一部閉鎖に踏み切り、EC事業の収益を改善させた。客足の回復はまだ途上にあるが、コロナ禍収束後の反転攻勢に向けて経営基盤の強化を進めている。

ITで「4重苦」乗り越える

 多慶屋は「紫色」のビル群でも知られる老舗の総合ディスカウントストアだ。1947年の創業以来、JR山手線御徒町駅(東京・台東)周辺を中心に店舗を展開している。食料品から医薬品、化粧品、生活雑貨、衣料品、家電製品、家具まで幅広い商品を扱っている。「何でもそろうショッピングタウン」として地域商業の振興を支え、近年は訪日外国人客も急増していた。店舗の品ぞろえや安さ、上野公園やアメヤ横丁からの近さ、多言語による接客などが口コミで広がり、中国やタイなどからの個人旅行客が連日押し寄せていた。

図 新型コロナウイルスが流行する以前の店舗の状況
図 新型コロナウイルスが流行する以前の店舗の状況
新型コロナ禍でインバウンド需要が激減(写真提供:多慶屋)
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 ところが、2020年春に状況は一変する。新型コロナウイルス禍の影響で、売り上げの2割を占めていたインバウンドの需要が“消失”した。同年の1~2月から日を追うごとに影響が出始め、4月の緊急事態宣言以降はインバウンドの売り上げがほぼゼロに近いという。さらに国内客も外出自粛に伴って客足が鈍り、同社自体も営業時間の短縮や一部店舗の休業を余儀なくされた。しかも同社は、新館への建て替えのために売り場面積を一時縮小した直後だったといい「まさに4重苦の状態が続いている」(伊藤取締役)という。

 こうした厳しい経営環境の中で、2020年2月ごろから取り組みを強化したのが米オラクルのクラウド管理会計システム「Oracle Cloud EPM」の活用だ。EPMで集計・配賦した損益に関する情報などを基に、商品の仕入れや棚割、売価、販売促進などの計画の作成や見直しを進めている。

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