2020年末にコロナ対策関連で決定時期が遅い、といわれた事案が2つあった。1つはGo To トラベルキャンペーンの一時停止である。当初はコロナ感染拡大が深刻な大阪市と札幌市が対象で、そこに東京都と名古屋市を加えて一時停止を行う想定だったが、12月14日の政府からの発表で「12月28日から1月11日までの間はGo To トラベルキャンペーンの利用を全国で一斉に停止する」となった。観光業界にとってかき入れ時であり、帰省シーズンでもある年末年始にキャンペーン停止のインパクトは大きかった。

 もう1つは12月26日に発表された「全世界からの新規入国者を12月28日から1月末まで受け入れ停止する」という事案である。新型コロナウイルスの変異種拡大への対策だ。

 この2つの決定に対して、マスコミ報道は総じて「遅い」という論調であった。感染状況の拡大や変異種のリスク、あるいは観光業や飲食業への影響を考慮したならば、もっと早く決定すべきであったという批判が大半である。

 確かに結果論としてはそうかもしれないが、「たら、れば」でもっと早く決定していれば本当に影響が少なかったかどうかはわからないことも多い。新規入国者の停止の発表は英国からの変異種感染者入国から1日遅れとなったため後手に回った印象だが、感染者が出なければ決定しにくい事案でもある。

 このように、新しく始めるよりも、すでに実施している政策やプロジェクトを中止する、あるいは大きく方向転換する意思決定はタイミングが本当に難しい。これはシステム構築の世界でも同じである。以下、例を示そう。

第1段階:要件定義のフェーズが終わり、要件定義書は一応作成されたが、発注者もベンダーも何かモヤモヤした状態だが、誰も声をあげずスケジュール優先で次フェーズになし崩し的に進むことになった。

第2段階:ベンダーの結合テストの段階でベンダーの報告ですでに1カ月の遅延が発生している。マスタースケジュールでは本番稼働まで残り3カ月。ベンダーのプロジェクトマネジャーは「なんとかします」を繰り返す。発注者側は不安を感じながらも、アクションを起こせないまま、突貫工事状態となる。

第3段階:エンドユーザー参加の受け入れテストでバグや仕様への不満が続出。ベンダーは毎日のようにバグ修正を行うが、もぐらたたきの状態が続く。それ以上にエンドユーザーから仕様の変更や追加の要求の声が大きい。

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