今日のIT業界で最もホットなテーマと言えば「デジタルトランスフォーメーション(DX)」である。IT系メディアのニュースやベンダーの広告には「DXによる経営改革!」「DX人材をいかに確保するか」「〇〇でも分かるDX」といったキャッチコピーがあふれかえっている。

 一方でユーザー企業の経営者に直接話を聞くと、現実は少々異なるようだ。「DX?聞いたことはあるし、これからのITなんだよね?ウチの情シス(IT部門)も取り組んでいるはずだ」といったレベルの経営者が多いように感じる。

意識の低い経営者が諸悪の根源

 IT関連調査会社のガートナージャパンが2019年10月に発表した調査結果によると、経営者のわずか10%しかIT部門を「ビジネスのリード役」と位置付けていない。10%の内訳は「IT部門はプロフィットセンター」が3%、「IT部門はビジネスをバックアップするのみではなく、ビジネス拡大に不可欠な存在」が7%。残る90%の経営者はIT部門を「ビジネスのサポート役」としか考えていない。

 DXの推進とはまさに「ITはビジネス拡大に不可欠」という意識が大前提のはずだ。にもかかわらず、そうした意識を持つ経営者がわずか7%にとどまるのは、日本の経営者のITやDXに対する意識の低さの表れだろう。IT部門をサポート役としか見ていない90%の内訳は、49%が「ビジネスをバックアップする、なくてはならない重要な存在」としている。だが問題はそれ以外の41%だ。「バックアップはするが、貢献度は高くない」は19%、「コストセンターでコスト削減要素が多い」が22%に上る。いわばこの経営者らが諸悪の根源である。

 経営者がITやIT部門を「金食い虫」と見ているユーザー企業ほど、システム開発を「丸投げ」することが多い。経営者がITをコストとしか見ていない企業はまず経営者がIT部門などの社員にシステム企画を丸投げする。経営者自身にはITを積極活用し、DXによる経営改革で大きな変革を起こそうという能力も気力も知識も全て無いのだ。

 だから「経営会議でDXをやらない会社は衰退するという話が出た。とりあえずDXに取り組め」などとIT部門に丸投げの指示を出す。経営者から丸投げされたIT部門は何をするかというと、取引のあるベンダーに「何かDXに関する情報はないか?」と資料請求したりセミナーに参加したりする。

 ところがDXというのはまだ定義が明確な概念ではない。たいていの場合「よく分からない」状態に陥る。それは当然であろう。経営者からは経営戦略や事業課題を示されずに「とりあえずDX」と言われ、ベンダー各社も「右へならえ」でAI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)、ブロックチェーンなどのはやりの技術をかき集めてDXと称している状況だ。IT部門がDXを理解できるわけがない。

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