新型コロナウイルス対策の切り札として期待された接触確認アプリ「COCOA」のあまりにお粗末な障害が明るみに出た。この件に関しては日経クロステックの記事に経緯が詳しく説明されている。

 要は日本のIT業界の悪習としてずっと以前から行われ、そして多くの識者や現場の人間が指摘し続けている「丸投げ」の弊害の典型的な事例がまた発生したということだ。

 システム開発に携わった者なら誰もが経験していることがある。それは「上流工程でのミスほど手戻りのコストが大きい」ということである。受入テストで不具合が見つかった場合、その不具合の原因が要件定義でのミスであれば、結合テストでのミスに比べて数倍の手戻りコストが発生する。

 ましてや要件定義よりさらに上流の企画や調達の段階で「丸投げ」による手抜きで問題が内在していた場合、その手戻りのコストや利用者への影響ははかりしれないほど巨大になる。COCOAのケースも単に発注額の数億円が無駄になっただけではない。インストールしたユーザーや医療従事者の時間を無駄にし、感染リスクを増大させた可能性すらある。厚労省に対する信頼も失い、さらに日本のIT力のお粗末さを世界に宣伝することになってしまった。

 テレビを見ていたら田村厚生労働大臣がCOCOAの不始末に関して「もともとオープンソースだったものを活用した。だから不具合があるのはしかたがない。その不具合を使いながら修正を重ねていくつもりであった」というような内容のコメントをしていた。

 このコメントだが、前半の「オープンソースだから不具合があるのは仕方がない」には承服しかねる。ソフトウエアの品質にオープンソースかクローズドの商用開発かは関係ない。逆に後半の「不具合を使いながら修正していく」には大いに賛同する。問題はこの使いながらの修正がまったく行われず、利用者やエンジニアからの指摘が再三あったにもかかわらず、厚労省が放置したことだ。

 なぜ放置したのか、そのすべての理由はわからないが原因の1つに間違いなく「丸投げ」がある。調達を「丸投げ」しているから検収もおそらくベンダーに「丸投げ」したはずだ。

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