中途採用の面談の中で応募者から「キャリアアップを目指している」「現在の職場ではなかなか自分の思うキャリアが描けない」といった発言をよく聞く。また中途採用を支援する人材紹介会社の営業マンも「御社に入るとどういったキャリアアップにつながるかを示すことが、良い人材の採用につながります」といったアドバイスをしてくる。

 キャリアアップとかキャリアパスという言葉は誰もが毎日何回も耳にするほどあふれかえっているが、それでは「キャリアとは具体的に何ですか」と問われたら、明確に答えられるだろうか。面接に来る応募者から返ってくるのは人材紹介会社が用意したマニュアルにあるような、そつはないが本気度もイマイチな回答が多い。

 キャリアという言葉から何をイメージするかは人によってかなり異なるはずだ。キャリアにはポジション、スキル、経験、収入、ワークスタイルなどさまざまな要素がある。これら要素の中で何を最も重視するか、どれとどれの組み合わせを良くしたいのかなどは人によって異なるし、同じ人でも年齢や状況によって違うはずだ。

 特にIT業界ではスキルが重要で、スキルアップがキャリアアップに直結するイメージがある。ただ、スキルエリアもどんどん多様化、複雑化、専門化してきている。また、旬のスキルにはやり廃りもあるので、どのスキルがキャリアアップにつながるのかは簡単にはわからない。

 近い将来、自分で起業するといった明確な目標があれば別だが、今の職場では自分は成長しないのではないかとの漠然とした不安が転職の理由だと具体的なキャリアをイメージすることは難しいはずだ。難しいから出てくるのが「御社でしっかり勉強して、キャリアアップして、貢献します」である。

 これは聞きようによっては前向きで好印象な発言である。しかし、採用側の企業の本音はどうだろう。中途採用の場合は「即戦力としての人材が欲しい。ウチは学校じゃないから勉強されても困る」「キャリアアップしたらどうせ転職するのだろう」というのが正直なところではないか。

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