新型コロナ対策の成功例として台湾が注目を集めている。台湾がコロナ感染拡大阻止をうまく行っている理由はいくつかあるが、その1つとしてIT担当大臣(正確にはデジタル担当政務委員)のオードリー・タン氏の存在がある。

 タン氏は1981年生まれの39歳という若さで、しかもIT担当大臣に就任したのは4年前というから35歳前後からその重職を担っているのだ。タン氏はIQ180以上の天才プログラマーといわれ、シリコンバレーでの起業経験もあるまさにITの申し子である。

 一方で我が国のIT担当大臣はどうか。現在のIT担当大臣は竹本直一氏79歳。その前はサイバーセキュリティ担当大臣として桜田義孝氏70歳が担っていた。桜田氏は「パソコンは使わない」発言でマスコミやネット上で袋叩きにあった。竹本氏も「はんこがテレワークの問題になるのは民間同士の問題」と発言し物議を呼んでいる。

 まったくもってお粗末な話だが、このお二人が悪いわけでない。むしろ無責任な任命の結果の犠牲者といってよいだろう。過去の経歴にITの専門的な経験のない高齢の代議士をIT担当大臣に据えることが問題ではないか。しかも桜田氏はオリンピック担当大臣とサイバーセキュリティ担当大臣という職掌上あまり共通点のない職務を兼務していた。

 要するにIT担当は順番待ち整理ポジションや付け足しのおまけの役職というのが政府の本音だろう。その政府のトップである安倍首相は「世界最先端IT国家創造宣言」なるものを採択し、「ITは成長戦略のコアである」とのたまう。ここまで言動が乖離していると悲劇を通り越してコメディーである。

 このまったく面白くないコメディーだが、実は企業でも散見されるのだ。大企業でも中小企業でも、経営者に「御社の経営にとってITとは?」と質問すればほとんどの経営者は「ITは当社の成長に欠かすことはできない最重要テーマの1つである」と答えるであろう。本気でそう考えている経営者ももちろんいるが、いまだに「ITは金食い虫」と内心は思っている経営者であってもまずそう答える。それが無難だからだ。今時、声高に「ITは金食い虫」と発言すればバカ社長のレッテルを張られることを分かっているのだ。

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