かつて日本は「1億総中流」といわれ、良くも悪くも社会的格差が小さく上でも下でもなく「中」が一極の社会であったが、いつの間にかさまざまな分野で二極化が進行している。

 しかも、国際的には日本が地盤沈下しつつある状況で、さらに国内で二極化しているので始末が悪い。二極化の事例としてよく用いられるのが、貯蓄額である。ある記事によると50代世帯の貯蓄額の平均値は約1600万円、中央値は約800万円。だが、内訳を見ると3000万円以上保有している世帯と貯蓄非保有世帯という両極の割合がもっとも高い。平均値や中央値があまり参考にならない数値で、実態は貧富が二極化しているのだ。

 このような二極化は貯蓄に限らず、生活の衣食住や企業活動などさまざまなところで目立つようになってきていると思う。

 ユーザー企業のIT化、DX化に関しても同様の二極化が見られる。ITを積極的に活用しDXを推進する会社とIT活用ができず時代に取り残され衰退していく会社の二極化は今後さらに顕著になるのではないか。そう思う理由を以下に挙げた。

  • (1)IT業界は人手不足がさらに加速している。特に若手人材は取り合いが激化している
  • (2)上記が理由でITベンダーの「ホワイト化」が進行している
  • (3)上記2つの現象からIT化が遅れている企業はITを強化したくてもできなくなっている

 IT業界で若手人材が不足しているのはこの業界にいれば誰しも知っていることだ。だが、IT業界ではないユーザー企業からすると「いまの若手はみんなIT業界に就職したがるのではないの。ウチの業種こそ人手不足だよ」と愚痴りたいかもしれない。確かにどの業種でも少子化で若手は不足しているだろうし、IT業界は若手の人気業種のように感じることもやむを得ない。

 そうした勘違いは、ITに疎い旧態依然なテレビや新聞の報道でIT業種を大ざっぱに一くくりにして扱うことが多々あるのに一因がある。いわゆる企業向けのシステム開発・導入を行うSIと、Web広告やECサイトの運営、そしてスマホアプリやオンラインゲームなどの仕事を全部ひっくるめて「IT業種」とする風潮がいまだに残っている。

 現在、若手に人気のあるのはWeb広告やゲームなどの仕事で、企業の業務システムなどを担うSIベンダーは残念ながらさして人気業種ではない。しかし、SIベンダーはDXブームもあって仕事は潤沢で若手の人材はいくらでも欲しい。それで、若手人材の争奪戦が起き、給与を含め採用コストの高騰が起きている。

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