コロナ禍により、日本が「IT後進国」であることが白日の下にさらされてしまった。もっとも、この日経クロステックにアクセスするIT業界や情報システム部門で働く読者の方々は日本のITの問題は先刻ご承知だと思うが、特にITに疎い人ほどなぜか日本はIT先進国と思い込んでいる。それが持続化給付金や特別定額給付金の支給にまつわるゴタゴタが連日報道されたことで、ついに広く社会にばれてしまった。

 批判の矛先が向かったのはマイナンバーカードである。マイナンバーカードを利用したオンラインによる特別定額給付金の申請でトラブルが頻発した。マイナンバーカードの普及率は約15%といわれるが、この低い普及率にも関わらずオンライン申請は大混乱で郵送のほうが効率が良いとまで言われてしまった。オンライン申請の主なトラブルは以下の通りだ。

  • マイナンバーカードとマイナンバー通知カードを混同した
  • 複数の暗証番号を管理する必要があり、その暗証番号を忘れた。あるいは失効していた
  • オンラインで使う暗証番号の再設定のため市町村窓口に行かなければならない
  • PCで申請するのにカードリーダーが必要とは知らなかった
  • 申請者の入力ミスが多く人による目視確認が必要で、郵送より手間がかかる

 マイナンバーカードのシステムはたしかに使い勝手が良いとはお世辞にも言えない。筆者は確定申告をマイナンバーカードを使ってe-Taxで行っているが、年に一度しかやらないこともあって「これ設計したの、どこのマヌケだ!」と毎年悪態をついている。だが、今回の特別定額給付金の申請に関しては全く問題なくスムーズであった。3月に確定申告したばかりで、操作の記憶が残っていたこともあるだろうが、それ以上に申請フローが確定申告より明らかにシンプルだったことが理由だろう。

 だから、マスコミの「給付金、オンライン申請でトラブル続発。政府が悪い、制度が悪い、システムが悪い」という論調にはやや違和感を覚えた。先に挙げたトラブルを見れば、システムの出来の悪さだけでなく、利用者のリテラシーの低さも明らかに大きな原因であろう。

 そうなのだ、ITリテラシーの低さが大問題なのである。利用者が暗証番号を忘れる、入力ミスを頻発することだけがリテラシーの問題ではない。自治体側が結局は人海戦術による目視確認に行き着いてしまったことや、オンラインで利用するパスワードの変更を窓口業務にしていることなど、様々な問題はITリテラシーが低いことに起因している。

 冒頭に述べたように日本のIT事情は厳しい状況にある。ハードウエアに関しては高い技術力はあるものの、半導体やスマホなどの主要製品において国際的な競争力は低下している。さらに弱いのがソフトウエアやサービスである。OSやDBMSは言うに及ばず、クラウドに関しても国内ベンダーが販売しているのはAWSやMicrosoft Azureである。

 ソフトウエアにおいては海外製品に「丸投げ」であり、日本国内のベンダーが頑張って売れば売るほど、上納金が外資企業に吸い上げられるのが現実だ。政府もこのままではまずいと、小学校においてプログラミング教育を必修化するなどしているが、効果が出るまでに長い時間が必要だし、果たして本当に将来、国際レベルのソフトウエア開発競争力を獲得できるかどうかはわからない。

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