インターネットでニュースを拾い読みしていて、面白い記事を見つけた。タイトルは「10万円給付のウェブ申請、テスト不十分 開発10日」(8月21日 朝日新聞DIGITL)だ。

 この記事の要旨は、当初の特別定額給付金事業は「減収世帯の30万円」だったのが、急に「全国民一律10万円」になり1カ月のシステム開発期間が10日になってしまった。それにより十分なテストを行うことができないまま受付を開始していた。見切り発車のため、稼働しながら不具合の修整をするしかなかった、という内容である。

 記事の内容もさることながら、コメントがなかなか面白い。「10日の開発ってすごいな」「開発から運用までたった10日間って、何人体制で作ったの」「普通はベンダーに依頼しても10日じゃ概算見積も出ないだろう」といったコメントが目立つ。

 記事の論調は「10日間の開発だから、入力ミスや重複申請に対応できず混乱を招いたのでは?」という感じでやや批判的であったが、読者の多くの関心は「どうやって開発したの?」にあったようだ。筆者もまったく同感である。

 短期間の開発というと「アジャイル開発」が想起される。給付金オンライン申請システムがアジャイルで開発されたかどうかは不明であるが、10日間という非常に短い期間であること、稼働しながら見つかった不具合を修正していくやり方からして、アジャイル的な手法を用いた可能性が高いのではないか、と推測している。

 アジャイル開発はその趣旨や進め方を正しく理解してれば、とても有用な方法なのだが、「なんちゃってアジャイル」も横行している。アジャイル開発ではおおまかに言うと、以下の作法でシステムを作る。

  • 開発対象を小さな機能に分割して、1つのイテレーションで1つの機能を作る
  • イテレーションとは要件定義~実装、文書化までの開発工程サイクル全般を指す
  • このイテレーションを繰り返して、機能を追加していく
  • プロジェクト関係者が必要な時に全員集まって直接意思疎通する
  • 上記のプロジェクト関係者には開発者と利用者の双方が含まれ、一緒に作業する

 本気でアジャイル開発をやるのは、けっこう大変なのである。参加する関係者全員に主体性と達成意欲が求められる。だからうまく回れば効果も大きいのである。

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