東京都の小池百合子知事は日経クロステックの単独インタビューに応じ、自身が率いる都のデジタル戦略を語った。急速に進むデジタル化を人類史に残る変化と断言。日本全体の先駆けとしてデジタル変革に取り組む。足元の新型コロナ対策から高速モバイルネットの整備、都民向けサービスの向上、都庁自身の変革まで、1400万都市・東京のデジタル戦略の実像とは。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ)

小池 百合子(こいけ・ゆりこ)氏
小池 百合子(こいけ・ゆりこ)氏
1976年カイロ大学文学部社会学科卒、1992年に参議院議員、93年に衆議院議員。環境大臣、防衛大臣、自民党総務会長などを経て2016年東京都知事。20年再び当選し現職。(写真:村田 和聡、以下同)
[画像のクリックで拡大表示]

「スマート東京」と題して東京都のデジタル戦略を進めています。都知事という立場からデジタル化の意義をどう考えますか。

 社会や組織のデジタル化は世界の人類史の中に位置付けられる変化だと思っています。紀元前と紀元後という変化に匹敵するのではないでしょうか。

 さらに一時的な変化にとどまらず、日進月歩で技術が進化して世界がつながっていっているわけです。かつての歴史、人類史の中でもなかったことです。

 世界が新型コロナ禍に見舞われる現在、デジタル技術をどう活用すべきか。これは国の勢い、国勢そのものにかかわる戦略であり、この機を逃すと激動の世界の潮流から自ら引いてしまう。もしくは蹴落とされる。そういう危機意識を持っております。

 東京都の人口は1400万人。これは1つの国家にも等しいわけです。都市のデジタライズは都市としての威信にもかかわる戦略です。ましてや日本の経済のど真ん中にいる東京が率いていかなければ、日本という国そのものの衰退にもかかわる。それぐらいの危機感を持っています。

宮坂ヤフー元社長、ダメ元で声をかけた

ヤフー社長を務めた宮坂学氏にも声をかけて副知事に招いたとか。

 ええ。2040年代に目指す東京の姿と実現のために2030年までに取り組むべき戦略を示した「『未来の東京』戦略ビジョン」を2019年に策定しました。この中にデジタル戦略であるスマート東京を位置付けて、様々なプランを講じてきました。一連の戦略を推進するにはデジタル世界を知り抜いた人材が必要と考えまして、宮坂さんがヤフーを辞めて間もなくのころ、本当にダメ元でお声がけしました。

 副知事に就いてからは宮坂さんご自身の決断に任せて、デジタルを行政にどう生かすかを考える役割に身を投じていただきました。彼自身の様々な人脈を生かし、(ソースコード共有サービスの)「GitHub」などを活用してコロナ対策情報サイトをいち早く立ち上げることができました。市民がテクノロジーを活用して社会課題を解決する「シビックテック」の実績を作れたと思っています。

 東京のデジタルトランスフォーメーション(DX)のムーブメントを起こす意味を込めて、令和2年度(2020年度)をスマート東京元年と位置付けました。「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」という3つの「シティ」を成し遂げます。このうちのスマートシティを引っ張るのがDXです。目的は都民への行政サービスの質、QoS(クオリティー・オブ・サービス)を高めることにあります。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。